2017年2月20日月曜日

【学問のミカタ】実際の特長を広告で表現できない?!

 経営学部の本藤です。
 私立大学は、そろそろ入試シーズンも収束しつつあります(国立大学はこれからが二次試験ですから本番ですね)。
 既に、進学する大学が決まった高校生は、自分のキャリアやワークスタイルなどを色々と考えて、興味のある本を読んだりして大学生活の助走を始めてみましょう。


 今月の学問のミカタのテーマは「ルール」です。
 このルールというのは、小学校時代から生活指導の先生が厳しく教え込んできているかと思われます。大学生活においても様々なルールがあります。
 授業では、個々の担当教員の方針によって千差万別です。
 当然のことながら、テレビや雑誌でよく目にする商品広告においても様々なルールがあります。


 多くの食品メーカーにとって頭が痛いのが「薬事法」でした。
 これは、医薬品などの品質、有効性、安全性等を確保するために、製造、販売、流通、そして広告などに関する規制でした。
 これが昨年(2016年)11月に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(通称:薬機法)として、半世紀以上続いた「薬事法」の改正を機に名称変更されました。
この広告規制に関して簡単に言えば、医薬品以外は「効く」とか「治る」とか言ってはいけない、というイメージです。医薬品についても、十分にメディカル・エビデンス(医学的根拠)がなければ、あれにもこれにも効くと言ってはいけないと想像以上に制約されます。

 先日、本藤ゼミは、ハウスWFに対して「ウコンの力」のプロモーション提案をしたのですが、この「ウコンの力」も薬事法の制約が強い商品です。
 一般的に、この商品は二日酔い対策として口コミで広がりました。しかし、テレビCMや店頭POPなどでは、間違っても「二日酔い対策に効果的です」などとは書けないのです。それは医薬品でもなければ、トクホ(特定保健用食品)でもなければ、機能性表示食品でもないからです。
そうすると現在のウコンの力のCMで、飲み会シーンで「飲んどかなくちゃ」を連呼するような内容で、直接的な表現をせずに連想させるレベルにとどめなければならなくなるのです。


 医薬品は厚生労働省、トクホと機能性表示食品は消費者庁の管轄ですが、いずれにしても効能効果の医学的根拠を明確に証明して、それを認めてもらう必要があります。


 つまり、世の中に氾濫している健康食品と言われる医薬品でも機能性表示食品でもトクホでもない商品は、「効く」とか「治る」ということを表現することは許されないのです。
 しかし!みなさんもインターネット上での商品広告を見ていて気づくことも多々あるかと思いますが、医薬品でもなければ、トクホでも機能性表示食品でもない商品なのに「〇〇に効く」とか「3か月でウエスト10センチ以上痩せる!」とか滅茶苦茶なキャッチコピーが氾濫しています。
 大手メーカーではコンプライアンス(法令遵守)が徹底されているため、化粧品でも「美白効果」などを広告できるように医薬品としてのメディカル・エビデンスに基づいて広告されているのですが、そのようなコストをかける余裕がない中小メーカーでは広告表現でも色々と頭を悩ませて、工夫しています(それが勢い余ることもしばしばなため、特にネット上での表現は無法地帯気味です)。


 日常的に目にして耳にする広告ですが、消費者に誤解を与えないための、企業の適切なプロモーションを実現させるための厳しいルールがあります。

文責:本藤貴康(流通マーケティング入門、流通論、地域インターンシップ担当)
本藤ゼミナールBLOG http://hondo-seminar.blogspot.jp/


【学問のミカタ】
他学部やセンターからも、同じ「ルール」をテーマとしたブログがアップされる予定です。
高校生の皆さんは、他学部の【学問のミカタ】に是非ともお立ち寄りください。

・経済学部ブログ : 「経済学とルールの関係性
・コミュニケーション学部ブログ : 「ルールブックにない“ルール”
・現代法学部ブログ : 「法も「ルール」~そんな「法」の学び方をお教えしましょう~
・センターブログ : 「英語学習のルール?