2017年1月9日月曜日

日本語学校の教員の皆さん向けのセミナーを行いました

皆さんこんにちは。経営学部教員の柴田です。明けましておめでとうございます。
今年は酉年です。どうか皆さんも鳥のように大きくはばたく一年になるよう祈念しています。
ところで、暮れの12月19日(月)に、本学大学院経営学研究科では、日本語学校進路指導研究会の企画で、日本語学校の教員の皆さんに向けたセミナーを開催いたしました。セミナーの様子は大学ニュースでも紹介しています。

日本語学校は、主に日本での勉学を希望する留学生の皆さんが、大学や大学院に入学するのに必要な日本語能力を高めるために通う学校です。本学に来られる留学生の中にも、日本語学校で勉強してから入学する学生は大勢います。このような日本語学校の教員の皆さんとの交流を通じて、特に日本で経営学を学ぼうという留学生の皆さんが、事前にどのようなことを準備しておいてほしいか、現状どのような問題があるかについて、お互いに意見を交換し、理解を深めるという意味で、私たち大学教員にとってもたいへん学ぶところがありました。今回のセミナーでは、大学院経営学研究科委員長の関口先生、研究課職員で経営学研究科担当の三上さん、それに私の3人が中心となって、本学大学院の概要説明や構内見学と、さらに「研究計画書の作成法」について私がお話しをさせていただきました。下の写真は、図書館を見学しているところです。



研究計画書は、大学院に在籍する期間を通じてどのようなテーマで研究を進め、論文をまとめたいかを記載するもので、大学院入試には必須の出願書類です。本学の大学院のように、語学や専門科目の学科試験を併せて行うところでは、研究計画書の中身だけで合否が決まるということはありません(学科試験との総合判定ですから)が、学校によっては研究計画書と面接だけで合否判定を行うところもありますので、そのような場合には研究計画書が大きなウェイトを占めることになります。私は、たまたまここ十数年にわたり本学大学院経営学研究科で一番多くの留学生の研究計画書をじっくりと読む立場にありました。私や私の隣接分野の教員を指導教員に指名して出願してくる留学生が多く、口述試験などのために事前によく読む必要があったためです。大学院担当教員の立場からいうと、研究計画書は「これから、時間をかけてこのような研究をしてみたい。」という構想や希望を述べるものですから、別に「今すぐにでも論文が書けそうな完成度の高い内容」になっている必要はありません。にもかかわらず、どうも最近は妙に完成度が高く、参考文献一覧などがきちんと書いてあるような研究計画書をしばしば目にします。しかも、そのような研究計画書を提出してくる受験生に対して、口述試験で内容について質問すると、答えに窮する場合が多く見られます。とても本人が自分で考えて書いているとは思えないわけで、他人の言葉で研究を語られても意味がなく、非常に残念なことだと思っています。
下の写真が、そのお話しをしている様子です。



私たちの立場からすると、受験生がなぜその研究テーマを選んだのかという動機・背景や、その研究テーマに関連する業界や企業について人一倍良く知っている事柄などがあるのか、を研究計画書を通じて知りたいわけです。修士論文はだいたいA4用紙で100ページぐらいの分量のものを書いてもらうことを想定しており、これは日本語を母語とする人にとってもかなり大変なことです。そのため、大げさに言えば「この研究テーマに関係することを考えていると、3度の飯も忘れて夢中になれる」ような研究テーマを選ばないと、最後まで根気が続かなくなるわけです。そのような研究テーマを選んでいるかどうか、が研究計画書のもっとも大事なポイントなのです。ですから、自分の言葉で書くことが、必要です。

このように、日頃思っていることを日本語学校の先生方お話しさせていただきました。日本語学校の先生方からも、日頃重視している事柄、大学への要望などのご意見が出され、基本的な部分ではかなり共通するところが多いと感じました。終了後のアンケートを拝見しても、好意的なご意見が多く、開催者としては嬉しく思いました。

グローバル化の進展とともに、大学もさまざまな留学生を受け入れ、多様化を図る必要があります。その意味で、日本語学校の教員の皆さんとの交流は、たいへん有意義な試みだったと思っています。

(文責:柴田 高)