2017年1月30日月曜日

産業界と大学

経営学部の吉田靖(経営財務論担当)です。

今回のブログは「産業界と大学」というテーマで2件の報告です。

まず、本学の恒例の行事となっている「企業と大学との懇談会」が1月26日に新宿のハイアット リージェンシー 東京で本年も盛大に開催されました。




この懇談会は、学生の就職活動においてお世話になっている企業・団体の採用担当者をお招きし、本学についてご理解を深めていただくと同時に、本学関係者が企業・業界の動向や新卒採用の情報を得る機会としているものです。
毎年数百社の主として人事担当部署の方にご参加いただいています。現3年生についても、積極的に本学の学生の採用をしたいという声を多数頂きました。
このように産業界は新卒のみなさんに期待しており、大学も有能な学生の育成に力を入れています。ただ、なんと言っても本人の努力無しには良い結果を得ることは困難です。応援していますので、学生の皆さんにはいろいろな産業・企業を知り、自分に合った選択をして欲しいと思います。

さて、次は、少々私ごとではありますが、一般社団法人信託協会様から平成28年度信託研究奨励金の贈呈を受けまして、1月24日に贈呈式がありました。この制度は信託業界から信託に関する研究の振興を目的とするもので、今回、私の「日本のETF市場のマーケット・マイクロストラクチャー」という研究へのご支援を頂戴したものです。このように、大学の教員は、産業界と連携して、学術研究を行うこともあります。
特に、信託研究奨励金は経済・法律分野の研究に対する奨励金としては、その歴史・規模ともにトップレベルのもので、研究者として大変に身の引き締まる思いです。
ところで、信託という制度は皆さんご存じでしょうか?
ちなみに、奇しくも、贈呈式の日に発表された信託財産総額(速報値)は、2016年11月末現在で1,000兆円を超えましたがこの数字は何を意味しているでしょうか?


信託という制度は、実は紀元前のエジプトには類似の制度があったといわれているほど、歴史があるもので、日本の法制度としては、明治の後半からあります。
日本経済全体では、低成長が続いていますが、信託財産総額はグラフのように2005年末から11年間で約1.7倍にも増大している成長分野です。皆さんの大切な年金など資産の一部もこの中に含まれています。

ここから先は皆さんで調べてみて下さい。東京駅丸の内北口の近くの日本工業倶楽部会館1階には三菱UFJ信託銀行信託博物館もありますので、訪れてみると良いでしょう。

産業界と大学にはいろいろな繋がりがありますが、今月あったイベントの中から学生の就職のお手伝いと、研究による産業界への貢献という二つをご紹介しました。他にも様々な活動がありますが、また機会があればご紹介しましょう!

吉田 靖(よしだ やすし)

2017年1月24日火曜日

いよいよ就職活動が本番を迎えます

皆さん、こんにちは。経営学部の関口和代です。

2018年4月入社社員を対象とした就職活動が本格的に始まります。
全員、持てる力を十二分に発揮して就職活動に臨んでほしいと思いますが、
緊張するとなかなかそれは難しいこと。
限られた時間ではありますが、本番に臨む皆さんの不安を
少しでも取り除けたらと思い、ゼミ内でいろいろと取り組んでいます。
4年生や卒業生も可能な範囲で最大限の協力をしてくださってています。
経験してきたからこその親身かつ適切なサポートに心から感謝しています。


毎回、冒頭の10分間、SPI対策の問題をやっています。
4年生が問題を準備してくださいます。
















1分間スピーチ、グループ・ディスカッションや
マイクロ・ディベートも行っています。
12月には、同時間帯にゼミをしている丸谷雄一郎先生のゼミと
合同でグループ・ディスカッションも行いました。
昨年度に続いて2回目です。
丸谷先生、ゼミの皆さん、ご協力ありがとうございました。




また、3年生を対象に、キャリア・コンサルタントの方、
企業の人事の方等にご協力いただき、模擬面接も実施しています。
面接後には、厳しくも温かいアドバイスをたくさんいただきます。
就職活動が本格化する前に、何が不足しているのか等を
気づかさせていただく得難い機会となっています。













新卒就職が唯一の道ではありませんが、
大学4年生の時に経験する就職活動は(一般的には)一度限り、
数多くの会社・組織を見ることのできる、またとない機会です。
積極的かつ前向きに、就職活動を楽しむ気持ちで
是非臨んでほしいと、いつも思っています。

内定が得られないと落ち込むこともあるとは思いますが、
そんなときにこそ、ゼミ・サークルをはじめとした大学時代の友人、
バイト先の社会人の方や家族などからのサポートを受け止め、
顔をあげて、まず一歩踏み出してください。

キャリアセンターをはじめ、卒業生組織の葵友会によるサポートも
手厚く行われている東京経済大学。
是非活用し、悔いのない就職活動をしていただきたいと思います。
皆さんからの良いお知らせをお待ちしています!











(文責:関口和代)






2017年1月16日月曜日

【学問のミカタ】通年商品でも冬の売れ方と夏の売れ方は違います。

2017.1.16

経営学部の本藤です。
新年明けましておめでとうございますm(__)m
一昨日と昨日はセンター試験でしたね。
受験生の皆さんは、ブログどころの話ではなさそうです・・・(^^;)

もしかしたら、センター試験の結果によっては、ギリギリになって受験校を探してこのブログにやってきた受験生もいるかもしれませんので、商品流通(売れ方)についてのお話をしてみたいと思います。
東京経済大学の一般入試(前期)の出願は1月27日までです。インターネットで出願できるので、是非是非ご検討ください(https://e.syutsugan.jp/tku/sss/index.html


冬の悩みとして、皆さんはどんな悩みがありますか?
冷え性の方に限らずに寒い冬は体調を崩しやすいですね。気温の低下ということもあるのですが、乾燥する季節なので、風邪対策やスキンケアなどが一般的な悩みだと思います。

(出典)http://pocarisweat.jp/products/pocarisweat/

この秋くらいからポカリスエットの広告で「乾燥対策」を打ち出してきました。
そもそもアイソトニック飲料(スポーツ飲料)が最も売れる時期は夏場です。全国のドラッグストアの買い物データを見ると、夏場は売れるのですが、ブランド・スイッチが頻繁に発生しています。もしかしたら欠品が多くて、代替購入する人が多いのかもしれませんが、それでもメーカー各社のブランド担当者は、売れ行きのいい時期に広告宣伝を積極的に展開しようとします。


しかし、大塚製薬のOS-1やポカリスエットは、スポーツ飲料の中でも珍しく風邪の流行シーズンにもひとつの山を作っています。ポカリスエットは、そもそも「飲む点滴」というキャッチフレーズを使っていたように、水分の吸収力が高い飲料なので、乾燥しやすい冬場に「乾燥対策」を打ち出すことは有効だと思います。この訴求点は、以前に大塚製薬のポカリスエットチームへのプロモーション提案の際に本藤ゼミで提案した視点でした。

大塚製薬様へのプロモーション提案風景(本藤ゼミ)

冬場のスポーツ飲料の売れ方としては、夏場のようにお客様はブランド・スイッチをせずに、特定のブランドをリピート購入する傾向が、買い物データから分かっています。つまり、夏場には売上は伸ばせるので新規顧客獲得を仕掛ける時期で、冬場にはブランド・ロイヤルティを高められるので既存顧客維持を意識する時期と言えそうです。
でも、唯一ポカリスエットは、冬場にも新規顧客獲得が可能なブランドですから、今回の「乾燥対策」や「風邪対策」などのポジショニング戦略は、競合する他社製品にはまねできないアプローチなので、ブランディング戦略として理にかなったアプローチです。


受験生の皆さんは、既に受験シーズン本番を迎えていますが、大学生の皆さんも、期末試験期間に入りつつあります。ポカリスエットを飲んで、乾燥対策や風邪対策を十分にほどこして、試験に臨んでくださいね。


文責:本藤貴康(流通マーケティング入門、流通論、地域インターンシップ担当)
本藤ゼミナールBLOG http://hondo-seminar.blogspot.jp/


【学問のミカタ】
他学部やセンターからも、同じ「冬」をテーマとしたブログがアップされる予定です。
高校生の皆さんは、他学部の【学問のミカタ】に是非ともお立ち寄りください。

・経済学部ブログ : 「マシュマロ・テスト
・コミュニケーション学部ブログ : 「冬とシェイクスピア
・現代法学部ブログ : 「平等とは?
・センターブログ : 「絵画から見えてくる中世の冬

2017年1月9日月曜日

日本語学校の教員の皆さん向けのセミナーを行いました

皆さんこんにちは。経営学部教員の柴田です。明けましておめでとうございます。
今年は酉年です。どうか皆さんも鳥のように大きくはばたく一年になるよう祈念しています。
ところで、暮れの12月19日(月)に、本学大学院経営学研究科では、日本語学校進路指導研究会の企画で、日本語学校の教員の皆さんに向けたセミナーを開催いたしました。セミナーの様子は大学ニュースでも紹介しています。

日本語学校は、主に日本での勉学を希望する留学生の皆さんが、大学や大学院に入学するのに必要な日本語能力を高めるために通う学校です。本学に来られる留学生の中にも、日本語学校で勉強してから入学する学生は大勢います。このような日本語学校の教員の皆さんとの交流を通じて、特に日本で経営学を学ぼうという留学生の皆さんが、事前にどのようなことを準備しておいてほしいか、現状どのような問題があるかについて、お互いに意見を交換し、理解を深めるという意味で、私たち大学教員にとってもたいへん学ぶところがありました。今回のセミナーでは、大学院経営学研究科委員長の関口先生、研究課職員で経営学研究科担当の三上さん、それに私の3人が中心となって、本学大学院の概要説明や構内見学と、さらに「研究計画書の作成法」について私がお話しをさせていただきました。下の写真は、図書館を見学しているところです。



研究計画書は、大学院に在籍する期間を通じてどのようなテーマで研究を進め、論文をまとめたいかを記載するもので、大学院入試には必須の出願書類です。本学の大学院のように、語学や専門科目の学科試験を併せて行うところでは、研究計画書の中身だけで合否が決まるということはありません(学科試験との総合判定ですから)が、学校によっては研究計画書と面接だけで合否判定を行うところもありますので、そのような場合には研究計画書が大きなウェイトを占めることになります。私は、たまたまここ十数年にわたり本学大学院経営学研究科で一番多くの留学生の研究計画書をじっくりと読む立場にありました。私や私の隣接分野の教員を指導教員に指名して出願してくる留学生が多く、口述試験などのために事前によく読む必要があったためです。大学院担当教員の立場からいうと、研究計画書は「これから、時間をかけてこのような研究をしてみたい。」という構想や希望を述べるものですから、別に「今すぐにでも論文が書けそうな完成度の高い内容」になっている必要はありません。にもかかわらず、どうも最近は妙に完成度が高く、参考文献一覧などがきちんと書いてあるような研究計画書をしばしば目にします。しかも、そのような研究計画書を提出してくる受験生に対して、口述試験で内容について質問すると、答えに窮する場合が多く見られます。とても本人が自分で考えて書いているとは思えないわけで、他人の言葉で研究を語られても意味がなく、非常に残念なことだと思っています。
下の写真が、そのお話しをしている様子です。



私たちの立場からすると、受験生がなぜその研究テーマを選んだのかという動機・背景や、その研究テーマに関連する業界や企業について人一倍良く知っている事柄などがあるのか、を研究計画書を通じて知りたいわけです。修士論文はだいたいA4用紙で100ページぐらいの分量のものを書いてもらうことを想定しており、これは日本語を母語とする人にとってもかなり大変なことです。そのため、大げさに言えば「この研究テーマに関係することを考えていると、3度の飯も忘れて夢中になれる」ような研究テーマを選ばないと、最後まで根気が続かなくなるわけです。そのような研究テーマを選んでいるかどうか、が研究計画書のもっとも大事なポイントなのです。ですから、自分の言葉で書くことが、必要です。

このように、日頃思っていることを日本語学校の先生方お話しさせていただきました。日本語学校の先生方からも、日頃重視している事柄、大学への要望などのご意見が出され、基本的な部分ではかなり共通するところが多いと感じました。終了後のアンケートを拝見しても、好意的なご意見が多く、開催者としては嬉しく思いました。

グローバル化の進展とともに、大学もさまざまな留学生を受け入れ、多様化を図る必要があります。その意味で、日本語学校の教員の皆さんとの交流は、たいへん有意義な試みだったと思っています。

(文責:柴田 高)

2017年1月2日月曜日

日本紹介番組をメキシコテレビ局で放映してもらう起業家にインタビュー

流通マーケティング学科の丸谷です。15回目の執筆です。私はグローバル・マーケティング論(簡単にいうと海外でどのようにマーケティングを行っていくのか)を専門分野にしているので、海外で活躍される日本人の方にお話を伺うことも多いです。

今回は日本のテレビ局が制作した日本の伝統文化を紹介するテレビ番組を、メキシコの大手テレビ局で放映してもらい、日本に観光客を呼び込むビジネスを立ち上げた起業家である株式会社Tokyo Divertido の西側社長にお話を伺う機会を得たので紹介したいと思います。

株式会社Tokyo Divertido の西側社長
                      
みなさんインバウンドビジネスって聞いたことあるでしょうか?
インバウンドビジネスとは、外国の方を国内に来てもらう事業のことです。日本政府もここ数年非常に力をいれており、中国などから来られた観光客の方が銀座で爆買いをなさる姿が取り上げられたりして、一時期ものすごく話題になりました。

私の担当するグローバル・マーケティング論の講義でも、履修者の方々からインバウンドや爆買いについても取り上げて欲しいという要望がここ数年増加しています(私の授業では基本的にはインバウンドとは反対の、日本企業が海外に向けて行うマーケティングであるアウトバウンドを中心に授業を行ってきました)。

懸案となっていたインバウンドに関して、ようやく2016622日に外部スピーカーとして、『爆買いを呼ぶおもてなし―中国人誘客への必須15の常識・非常識』を静岡新聞社から出版された静岡産業大学の柯麗華先生に、爆買いについてお話して頂き、講義終了後も多くの質問がなされ、関心の高さが確認されました。

静岡産業大学の柯麗華先生の講演風景


私はこの好評を受けて2017年度の特別企画講義を企画し実施することになりました。東京経済大学では教員が学生さんのニーズなどを踏まえて講義を特別に企画する制度があります。私も20164月にコミュニケーション学部の遠藤先生が企画された講義に講師として参加したことあります(詳細は私が6月に執筆した経営学部ブログ「特別企画講義「オリンピックから現代をみる」の中でブラジル経済ビジネスに関して講義する。」(http://tkubiz.blogspot.jp/2016/06/blog-post.html)を参照)。

今回の西側社長への取材は、私が企画するインバウンドビジネスに関する特別講義の講師の一人である元外務省専門調査員の大澤先生のご紹介で実現したものです。インバウンドビジネスの対象は現在までのところ中国の方の爆買いにみられるように、アジアが中心ですが、インバウンドビジネスの対象は別にアジアだけに限られたわけではありません。

西側社長は総合商社のラテンアメリカカリブ地域担当を経て、ラテンアメリカ地域での日本文化への関心度の高さを感じ取り、ビジネスを立ちあげました。当初、現地でも人気の日本アニメをメキシコの現地テレビ局に売り込む予定でしたが、メキシコでは肥満問題が深刻化し、政府がお菓子メーカーのCMが規制されてしまい、子供向けのコンテンツの売り込みは難しいと判断したそうです。

メキシコ現地事務所

西側社長は商社出身ならではの行動力によってこの局面を打開していきます。上記のビジネスを構想する中で作っていた人脈を生かして、大阪の毎日放送が製作し、既に中国で放映実績がある京都の伝統文化を丁寧に取り上げたドキュメンタリー「Made In Kyoto」を放送するビジネスを構想し、実現させました。

西側社長が経営するTokyo Divertidoはメキシコに常駐する社員がいらっしゃり、番組を製作した大阪の毎日放送とメキシコの大手テレビ局テレビアステカのグループのテレビ局Proyecto 40との間に入り、「Made In Kyoto」をスペイン語版の「Echo En Kyoto」に翻訳吹き替えて放送できる状態にします。

その上で、番組中に4回、訪日旅行ツアーの案内を告知し、テロップにて現地日系旅行代理店ビアヘス東洋の問い合わせ先を映し、日本への観光すなわち日本へのインバウンドへとつなげ、このツアーの収益から利益をあげます。

Echo En Kyotoの予告映像©株式会社毎日放送

さらに、標的となる視聴者が日本に興味がある、経営者やマネージャー層といった高所得が対象であることを活かして、現地の日系自動車メーカーや航空会社をスポンサーにCM枠を販売した収益から利益をあげます。

つまり、日本にメキシコ人の富裕層を呼び込むインバウンドビジネスを促進すると同時に、CM枠販売を通じて日本企業の現地での知名度も高める効果も狙い、そこから利益を生み出すことを実現しようとしているのです。

これまでに前例があまりないビジネスなので、ラテンアメリカ事業ならではの困難や立ち上げたばかりの事業で一般的な資金繰りの問題など、多くの困難はあるとのことでしたが、今後の展開を伺うと、毎日放送制作の新シリーズの配給、別のコンテンツへの取り扱い、日系企業のCM製作、コロンビアなどメキシコ以外の諸国への展開と可能性は多岐にわたっているとのことでした。

メキシコで生まれた私としては、日墨交流が促進されるこのビジネスが成功することを期待すると同時に、元商社マンの若い起業家のバイタリティに刺激を頂き、応援したいなと感じました。

文責 丸谷雄一郎(流通マーケティング学科 教授)