2016年6月27日月曜日

特別企画講義「オリンピックから現代をみる」の中でブラジル経済ビジネスに関して講義する。


流通マーケティング学科の丸谷です。12回目の執筆です。

  今回はコミュニケーション学部の遠藤先生が企画された特別企画講義「オリンピックから現代をみる」の中の1回分の依頼を受けて行ったので、その模様を報告させていただきます。

 なお、特別企画講義に関しては、一般にも今年度は6科目が公開されているようで、本講義も公開されている講義であるため、学生さん以外の方もこられていました。詳細は以下のサイトを参照下さい(実施教室は変更されている場合があり、今回の講義も教室が当初からは変更されていました)。

 特別企画講義というのはあるテーマに沿って教員が企画し、大学で承認したものを開催する講義です。今回の講義は間近に迫ったリオデジャネイロ・オリンピックをきっかけに多様な講師を迎えて連続講義を15回行うといった内容でした。学内だけではなく、外部からも多彩な講師を迎える予定になっております。


  私は経営学部ではグローバル・マーケティング論(簡単にいうと海外でどのようにマーケティングを行っていくのか)を主に担当しており、私がメキシコシティで生まれたこともあり、特に中南米に関しては現地調査で何度も訪れ、創成社新書「ラテンアメリカ経済成長と広がる貧困格差」も書かせていただいているので、お引き受けいたしました。

 注目集めるオリンピック関連の講義ということもあり、講義は大教室にかなりの人数が入って行われました。資料は300人以上分が毎回用意されるようです。

 私が与えられたテーマは、「ブラジルにおける経済及びビジネスオリンピック開催を契機に」でした。

 具体的には、第1にブラジル経済発展の経緯を三角貿易(図参照)によって発展した植民地時代から1985年の民主化後新興国の雄BRICSの一員として注目された近年まで振り返りました。

 三角貿易とは海洋国家であったポルトガルが本国であるポルトガルと、主要植民地であったアフリカとブラジルの3つの地域を貿易でつなぐことで行っていた貿易です。ポルトガル本国からはアフリカに武器を、アフリカからブラジルへは労働力として奴隷黒人を、ブラジルからは奴隷黒人を使って栽培したり採掘したサトウキビ、コーヒー等の農産物や金などの鉱物をポルトガルに送っていました。

2に厳しい局面を迎えている現在のブラジル経済の状況について示しました。ブラジルはエネルギー価格が高騰した2004年くらいからリーマンショックまでは順調に成長し、その当時にオリンピック開催を決めたのですが、その後経済は低迷し、2015年はマイナス成長になってしまい、正直オリンピック開催どころではない状況にあるともいわれます。

3にブラジルにおけるビジネスとオリンピック開催の関係性について説明しました。大統領が弾劾されるかもしれないなど、厳しい状況にはありますが、2014年に行われたワールドカップのことを考えると、オリンピックの開催自体はなされそうであるという前提を踏まえて、ブラジルのビジネスの状況について解説し、オリンピックをしっかりと開催しないことによって生じるデメリットについても若干触れました。


経済が厳しく、政治が混乱している中で行われる予定の南米大陸初のオリンピックが順調に行われることを期待しつつ授業は終わりました。本学では今回のオリンピックだけではなく、逐次多様な内容の特別企画講義が行われております。入学後にはぜひ視野を広げるためにも、特別企画講義にも注目してみてはいかがでしょうか。
(文責:丸谷雄一郎 流通マーケティング学科教授)


 

2016年6月21日火曜日

山本ゼミの新歓合宿、産学連携企画、学業成績優秀者表彰式&山本の近況

中小企業経営論担当の山本です。
 6月下旬は授業も2/3が終わり、佳境に入ります。学生も段々と定期試験が近づいてきて、そわそわしてくるのではないでしょうか。夏日と雨日の交互で、寒暖の差が激しく、体調にも気をつけなければいけないですね。

教員も国内や海外の学会で報告するための論文(DP:Development Paper)を書いたり、学会や学協会を開催したり、省庁の委員会に出席したりとこの時期は結構な繁忙期です。

それではこの4月から6月まで、山本の身の回りであった東経大の学生生活+αについて、報告していきます。

1.山本ゼミの新歓合宿
 4月22日にゼミの新歓合宿を開催しました。4月にゼミが始まり、最初のイベントが武蔵村山キャンパスでの「新歓合宿」です。新たにゼミに入った2年生に同期・上級生と親睦を深めてもらうため、毎年開催しています。3年生には合宿の企画・運営をまかせつつ、せっかくの機会なので、夜を徹して、一年間の研究・プロジェクトの案を練ってもらったりもします。
 なお、山本は↓の4の案件があり、今回は夜遅くからの合流になってしまいました。待っててくれたゼミ生に感謝です。



2.産学連携企画
 新歓合宿の次の日に、東村山を舞台に富士ゼロックスさんや大手鉄道企業の方々と産学連携企画を実行しました。まだ詳細は話せませんが、今年もいろいろとチャレンジしていこうと思っています。



3.学業成績優秀者表彰式
 5月18日に経営学部の学業成績優秀者表彰式がありました。前回も書きましたが、本学は学生の成果を積極的に表彰しようと大変に力を入れています。今回は経営学部だけで60名の学生が表彰されたとのこと。ありがたいことに、山本ゼミ生も3名が表彰されました。今後とも頑張ってください。



4.山本の近況
 6月のことを書こうとしたのですが、特筆すべきことがなかったので、代わりに山本の近況をほんの少しだけ。4月22日に、大変に恐縮だったのですが、NHKの番組でお話しする機会を頂きました。若干ですが番組作りにも関わらせて頂きました。中小企業経営の研究者として、有意義な学びの機会だったと思っています。ゼミ生など何人かの学生も見てくれたらしく、声をかけてもらいました。とてもありがたい話です。

 それではまた8月にお会いしましょう。


文責:山本聡(中小企業経営論担当)








2016年6月13日月曜日

【学問のミカタ】車が減ると駐車場は要らなくなる???

経営学部の本藤です。
今月の【学問のミカタ】のお題は「乗り物」ですが、みなさんの実家に自家用車はありますか?
自家用車が必要かどうかは、住んでいる地域の公共交通機関の発達具合によって変わりそうです。
都心部に住んでいる場合には、JR、私鉄、地下鉄、バスの交通網が縦横無尽に張り巡らされていて、平日に自家用車を利用する以外に必要ないかもしれません。逆に、地方都市になると、バスが1時間に1本しかなく、そのバス停さえも自宅から徒歩10分かかるようなケースも珍しくありません。


そのような実情を反映しているのか、普通自家用車の所有台数トップは愛知県ですが、世帯あたりの所有台数トップは福井県で、一人あたりの所有台数では群馬県がトップとなっています。そして、自家用車の一人あたり台数で見ると、東京都は最下位です(東京都は人口が多いことも理由かもしれません)。
そして、この普通自動車の数は徐々に減少する傾向を示しています。


商品流通に関して「乗り物」の話題と言えば、物流に話題を転じることが多いのですが、残念ながらボクの研究領域として物流はあまり登場しません・・・(^_^;)
ボクの研究領域から「乗り物」を考えると、自家用車の利用状況は、お客様の買い物行動(もう少し具体的に言うと「お客様の来店方法)に影響を与える点で影響があると感じます。


自動車の利用が減っていると指摘されていますが、これは高齢化が背景にあると言われています。高齢者は日常生活圏が、中若年層と比較して狭くなりがちです。一説によると、70歳以上の高齢者は、日常生活の80%を自宅から400m圏内で完結しているとも言われています。
ただし、高齢者にとっては、重い荷物を持って帰ることも大変なので、それを想定してネットスーパーが広告宣伝を積極的に行って、需要開拓を図っています。
とは言うものの、高齢者がインターネットを気軽に使うような社会は、もう少し先になりそうですから、まずは店舗が宅配サービスを行ったりもしています。


消費者が最も近くの店舗で買い物をする食品スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストアの業績が相対的に好調なのは、このような生活者の変化が要因となっている面もあります。
これらは小商圏業態とも最寄型小売業態とも言われています。比較的遠くからお客様を呼び寄せなくてはならない郊外型の小売業としてホームセンターがありますが、ここが主な購入先だったペット用品や園芸用品などは少しずつドラッグストアで購入されるようになってきています。



これは高齢者に限らないトレンドと言えるかもしれません。
近年は、夫婦共働きや単身の世帯が増えてきていて、買い物をする時間も少なくなってきていると言われています。そうなると、生活必需品を近くのお店で購入するだけという人が増えているのも納得させられます。

それでは、多くの人が徒歩圏で買い物をするのであれば、小売業に駐車場は不要になるのでしょうか?

実は、徒歩圏にある小売店でも、お客様は自動車を使う人が増えてきています。自動車も普通自動車は減少傾向にあるのに対して、軽自動車の保有比率は着実に上昇傾向にあります。ですから、食品スーパーはもちろん、たとえコンビニエンスストアでもドラッグストアでも駐車場は小売店舗には不可欠な条件になってきています。


高齢者の構成比率が急速に増えつつある日本では、生活者の買い物の仕方も変わってきますし、求められるサービスも設備も変わってきています。ビジネス側としては、できるだけ多くのお客様の満足を獲得できるようにビジネスモデルを継続的に修正していかなければなりません。
つまり、生活者は日々変化しているので、ビジネスも日々変化する生活者に対応して変化する必要があるわけで、そのために生活者のニーズを把握し続けなくてはなりません。


【学問のミカタ】
他学部やセンターからも、同じ「乗り物」をテーマとしたブログがアップされています。
高校生の皆さんは、他の【学問のミカタ】に是非ともお立ち寄りください。
・経済学部ブログ「公共交通機関はぜいたく品?
・経営学部ブログ「車が減ると駐車場は要らなくなる???
・コミュニケーション学部ブログ「『乗り物』をデザインする力
・現代法学部ブログ「ベビーカー問題にみる、子育て環境のバリアフリー化について
・センターブログ「急ブレーキは危険です



文責:本藤貴康(流通マーケティング入門、流通論、地域インターンシップ担当)
本藤ゼミナールBLOG http://hondo-seminar.blogspot.jp/