2016年9月12日月曜日

【学問のミカタ】世の中の需要の大きさは胃袋の数・・・

高校生のみなさんは夏休みを有意義に過ごせましたか?
今年の夏は、前半で涼しかったので食べ過ぎてしまったり、後半で暑くなってきて飲み過ぎたり
しませんでしたか?
でも、そんな食生活が日本経済を支えているんですよね。
今月の【学問のミカタ】全学共通テーマは「食」です。



「メーカー⇒卸売業⇒小売業⇒消費者」と商品の流れをテーマにした流通研究では、この商品などが流れる経路を「流通チャネル」といいます。この「チャネル」は日本語で「経路」と訳されます。そして、メーカーから小売業へのチャネルは、大別して食系チャネルと薬系チャネルに分類されます。

身近な小売業を例にすると、食系チャネルの代表的小売業はスーパーマーケットやコンビニエンスストアで、薬系チャネルの代表的小売業はドラッグストアなどになります。
メーカー各社は、それぞれに特異なチャネルと不得意なチャネルがあって、当然のことながら、医薬品メーカーは薬系チャネルに強くて、食品メーカーは食系チャネルに強かったりします。

この食系メーカーにとって、商品流通チャネルの最終的な到達地点は、消費者の胃袋ということになりますから、人口減少によって胃袋の絶対数が減少することは、市場規模が縮小する可能性があることを意味します。

ここで「可能性がある」という表現を使ったのは、市場規模というのは、消費者の人数と客単価によって規模が算出されるので、人数が減っても、安全や健康増進などにコストをかける消費活動が広まり、価格水準が高まれば、市場規模は維持されることが考えられるからです。


日本の経済政策として日銀主導でインフレを誘導しようとしてはいるものの、なかなか進捗しない現状を考えると、食品市場のコモディティ化(価格以外の差別化が難しいこと)は如何ともし難い状況です。つまり、食品業界は、メーカー、卸売業、小売業、外食産業などは、「売上低下⇒コスト削減」という縮小均衡に陥る企業も増えているようです。

そんななかで、現在注目度が高まりつつあるのが「機能性表示食品」です。
この「機能性表示食品」は昨年2015年4月から開始された制度で、2016年7月時点で347件の届出がありました。

この「機能性表示食品」は、大きな見方をすると、一般食品と医薬品の中間に位置づけられる「保健機能食品」に含まれるものです。この「保健機能食品」には「特定保健用食品(トクホ)」、「栄養機能食品」、「機能性表示食品」があり、前から順番に一般食品に近いものになります。

この機能性表示食品として、大ヒットした商品が「えんきん」(ファンケル)です。商品名も素晴らしいですね。
老眼対策になるということで、40代くらいから近い文字が見えづらくなる人が増えてきますが、この時に選ぶメガネが"遠近両用"なので、「えんきん」という商品名は、そんな問題意識を抱えている人にはすぐに分かります。

人口減少は避けられない日本ですが、食品市場も「安くて美味しい」というだけではなく、「美容」や「健康」などに対してのソリューションとして「効く」と表現できる「食品」の流通は、高齢社会を背景としている面もありますが、そんなビジネス・チャンスは見逃せませんね。

【学問のミカタ】
他学部やセンターからも、同じ「食」をテーマとしたブログがアップされています。
高校生の皆さんは、他学部の【学問のミカタ】に是非ともお立ち寄りください。
・経済学部ブログ : 料理こそ経済学!
・コミュニケーション学部ブログ : http://comtku.blogspot.jp/
・現代法学部ブログ : http://genho-tku.blogspot.jp/
・センターブログ : English Breakfastは、イギリスの朝ごはん?
文責:本藤貴康(流通マーケティング入門、流通論、地域インターンシップ担当)
本藤ゼミナールBLOG http://hondo-seminar.blogspot.jp/