2016年8月29日月曜日

1年生による図書館展示の試み(フレッシャーズセミナーa編)

流通マーケティング学科の丸谷です。13回目の執筆です。前年度後半のフレッシャーズセミナーbの授業の一環として実施した展示の好評を受けて再び展示を行うことになったので報告させていただきます。なお、前回の展示に関しては経営学部ブログ2015年12月21日と2016年2月22日を参照ください。

フレッシャーズセミナーaはフレッシャーズと銘打っているだけあり、新入生である1年生が履修するセミナー(少人数授業)です。フレッシャーズセミナーはaとbがあり、aの方は春からの半期の間に、大学で学習を始めるにあたり基礎的な知識や資料の調べ方などを学ぶ授業です。

ちなみに、前回の展示を行ったフレッシャーズセミナーbの方は大学に入学して半年間たったフレッシャーズセミナーaを履修済みの学生さんがaで学習した内容を踏まえて応用的な内容を学習する授業です。

そのため、今回の展示では前回の展示の反省と履修者の皆さんのレベルの差を踏まえてよりきめ細かな準備を心掛けました。図書館の職人の方にも大変きめ細かな準備を頂きました。ここに記して感謝いたします。

図書館の展示を行うにあたり、ランダムに各チーム5名程度で4チームにグループ分けし、しっかりとした展示内容を決定するために、15回の授業の前半は展示内容をまとめた報告書を作成いたしました(授業中各チーム6回にわたって改善しました)。

前半の報告内容から、今回の展示内容は待機児童問題、自転車社会実現、一人暮らしのための食事、SNSの危険性という非常に身近なテーマとなりました。

図書館の職員の方の展示に関するレクチャーの後、
 図書館職人の方による展示に関するレクチャー

POPなどを準備しました。
 準備したPOPの一部(自転車社会実現班)

準備したPOPと図書館の蔵書から学生さんが選定した本や雑誌などを展示しました。
最初に展示してみた状況

しかし、実際に展示してみると、当初考えていた意図がしっかり伝わらなかったりすることがわかるので、私が2-4年生を対象に開講しているゼミナールの学生さんや図書館の職員の方から頂いたアドバイスなどを参考にし、かなりの試行錯誤を重ね、修正を加え続けます。
丸谷ゼミナールゼミ生による展示チェック
アドバイスを経ての修正ポイント会議も行い、
 一人暮らしでの食事班修正メモ

 最終的に以下の展示が完成しました。

フレッシャーズセミナーaの履修者による展示完成版

 展示完成版(SNSの危険性班)
 展示完成版(待機児童問題班)

展示は図書館内ブックウォールDにてしばらく行われる予定ですので、図書館を訪れた際ぜひご覧ください。また、今後とも機会があればこのような取り組みを行っていく予定ですので、今後の展示に向けてご意見等ございましたら、丸谷(maruya@tku.ac.jp)までご連絡頂ければ幸いです。

文責 丸谷雄一郎(流通マーケティング学科 教授)






2016年8月21日日曜日

日本の夏、山本ゼミの夏!!1.五大学中小企業研究インゼミ 2.夏合宿 3.企業調査 4.産学連携&コンテスト報告

 山本(中小企業経営論担当)です。気が付いたら8月下旬。時が経つのは本当に早い。。。

 最近の東経大キャンパスは夏季休暇で学生の姿もなく静まり返っています。教員はこのときとばかり、論文・原稿執筆、研究報告・講演、調査出張、学外の委員会といった諸々の仕事を詰め込むので、夏季休暇とは名ばかりの相当な繁忙期です。山本は中小企業研究が専門なこともあり、8月は国内出張、9月は海外出張を軸にスケジュールを組みます。今年の9月は二つの国際学会で報告するため、イギリスとインドネシアに行きます。今から楽しみにしています。

また、夏季休暇中は授業期間以上に、ゼミ生指導に力を入れます。山本ゼミでは3つの研究グループがそれぞれ外部の論文コンテストやプレゼンコンテストに参加しています。これらの応募〆切や予選開催日は9~11月なので、夏季休暇中にいかに研究を進展させるかが重要になります。

ということで、自宅で論文を書きつつ、もしくは出張先のホテルで次の日の予定を練りつつ、SNSを駆使して、ゼミ生の研究指導に勤しんでいます。そんなせわしない、しかし、充実した東経大の夏の学生生活を紹介します。

1.五大学中小企業研究インターゼミナール
 インゼミとは異なる大学の、研究領域の近いゼミが集まって、研究報告会をすることです。このブログでも何回か紹介した年二回のインゼミ。今年は8月6日に東経大、日本大、帝京大、文教大、玉川大の五大学での開催となりました。年々、規模が拡大しています。報告内容もインタビュー調査やアンケート調査によるアカデミックな研究から地域連携活動の報告まで、バラエティに富んでいます。山本ゼミのゼミ生も気合を入れて報告し、他大の先生や学生から、貴重なコメントをたくさん頂くことができました。


五大学 集合写真



インゼミでの山本ゼミ生の報告。他大の先生方から大変良いアドバイスを頂きました


2.夏合宿
 インゼミの2日後、8月8日~9日に山梨県河口湖畔で夏合宿開催。バスをチャーターし、西国分寺から出発しました。就活を終えた四年生も多数、参加してくれました。また、山本ゼミがお世話になっている多摩信用金庫の方と富士ゼロックスの方にもゲスト講師として、合宿にご参加頂きましたそれぞれのご講演に加え、ゼミ生の研究のご指導も頂きました。ありがとうございました。


ホテル近くのシャトー風レストランで、ゼミ生と一緒にランチ


多摩信用金庫の方、富士ゼロックスの方と記念撮影


3.企業調査
 山本ゼミは「現場から学ぶ」ことをポリシーとしています。そのため、山本ゼミ生は夏季休暇中、企業の方々へのインタビューを積極的に実施しています。企業の方々にインタビューをお願いできるのは学生の特権であり、それをフル活用しているわけです。山本も可能な限り、ゼミ生の企業調査に同行しています。いろいろ試行錯誤した結果、教員が実例を見せることが、インタビュー調査の手法を教える最も良い方法だという当然の結論に至りました。ゼミ生の質問の仕方やメモ取りの仕方が格段に上達しているのを見ると嬉しくなります。


8月16日に訪問した東京東信用金庫の方々と記念撮影をしました



4.産学連携&コンテスト
 まだ、詳細は話せませんが、山本ゼミの今年度の産学連携プロジェクトが佳境を迎えています。様々な方々のご支援を頂きつつ、ゼミ生も相当に頑張っています。そのうち、このブログで報告したいと思っています。
 
 加えて、8月2日に富士通の知財活用アイデア大会 ブラッシュアップ会がありました。詳細は東経大のwebsiteで紹介されていますが、山本ゼミの二年生が参加していて、なかなか面白いアイディアを考え出して、頑張ってくれています。

知財活用アイディア大会 ブラッシュアップ会でのゼミ生の様子


以上、山本ゼミの今夏のゼミ活動をダイジェストで紹介しました。大学の夏季休暇は高校のときよりも長いのですが、油断していると、何の成果も思い出も得られず、いつの間にか終わってしまいます。でも、東経大のゼミに入れば充実した夏を過ごせる、、、このブログの読者の方にそれを少しでも感じてもらえれば幸いです。


文責:山本聡
 
 








2016年8月8日月曜日

【学問のミカタ】販売会社ってなに?

経営学部の本藤です。
期末試験も終わり、最初のオープンキャンパスのイベントも終わり、夏休みに突入です。
大学教員の「夏休み」は「休み」ではありません。まとまった研究などの個別の活動ができる貴重な機会です。でも、研究に集中できるかとなると、学会を含めた学外の仕事が続々と入ってくるので、「休み」という響きからは程遠い生活です・・・(*´Д`)

今月の全学共通テーマは「会社」です。
このテーマは何でもトピックにできるのですが、今回は「販売会社」を紹介します。
大企業のマーケティングや営業などのブランディングを推進する流通機能を担っています。

ところで、ドラッグストアやスーパーマーケットなど日常的に利用しているお店の売場で、みなさんはブランドは認知していて選びますよね?
「ネスカフェがなくなったから買わなくちゃ」とか「そろそろフルグラを食べたいなぁ」とか・・・

例えば、シャンプー売場で買い物をしていて、商品棚に並んでいるのは、エッセンシャル、セグレタ、アジエンス、メリット、サクセスなど様々なブランドを目にします。


ここで挙げたブランドは、それぞれメーカー名を知っていますか?


ブランドは知っていても、メーカーを知らないケースは多々ありますよね。
「ペヤング ソースやきそば」の「まるか食品」だったり、「サッポロ一番 みそラーメン」の「サンヨー食品」だったり、メーカーの会社名を知らなくても、商品名やブランド名は知っているというものはたくさんあるのではないでしょうか。

メーカーの中には会社名の認知を広めるために広告宣伝するケースもありますが、多くのメーカーは売上につながるブランド認知を推進するために広告宣伝するケースが多いようです。
これらの商品やブランドの認知の多くは「店頭」で買われて、消費されて、評価されて、長期的に売場を確保して、繰り返し利用されることで、ブランディングを推進します。
そのために必要な企業活動が営業であり、その組織としての力が営業力です。
商品力があっても営業力がないために、まだ日の目を見ないブランドは無数に存在しています。
この営業力は、営業拠点や営業担当者の数によって強化されますが、その量だけではなく質も重要になってきます。
ですから、強力な営業力を有する大企業の方が、強いブランドを育てられるマーケティング機能を持っていると言えます。


先ほど挙げた5つのブランド(エッセンシャル、セグレタ、アジエンス、メリット、サクセス)は、すべて「花王」のブランドです。シャンプーというカテゴリーで、花王は30%近くのマーケットシェア(市場占有率)を獲得しており、低価格帯から高価格帯まで幅広く製品供給をしています。実は、花王は洗剤や柔軟剤では更に大きなシェアを持っていて、メイク落としや洗顔料でもトップシェアを誇っています。


これは、競争力のある製品開発をしているという側面もありますが、会社の営業力によってブランド力が築き上げられているという側面の方が大きく影響しています。
この花王の営業力は、花王カスタマーマーケティング(花王CMK)という販売会社が支えています。この花王CMKは、メーカーである花王株式会社の持ち株比率が100%の完全子会社で、花王が製造する化粧品などのビューティケア製品、歯磨きなどのヘルスケア製品、洗剤などのファブリック&ホームケア製品など、すべての花王製品を取り扱っています。

同社は、メーカー(親会社)から仕入れて、小売業に流通させる「卸売業」です。花王製品しか扱っていないにも関わらず、日用雑貨を扱う卸売業の中でも国内第2位に君臨する大企業です(直近決算で、上場している日用雑貨卸の第1位パルタックが約8600億円、第2位あらたが約6767億円に対して、花王CMKは約6955億円)。
日本橋にある本店の他に、全国8箇所(北海道、東北、首都圏、関越、中部、近畿、中四国、九州)に支社があり、全国に約90ものオフィスを備え、各拠点の営業担当者が、各地の小売チェーンやブランドを担当しています。
※花王カスタマーマーケティングHP(http://www.kao.co.jp/saiyo/cmk/gt/company/index.html)


このような「販売会社」をメーカーが設立するのは、営業やマーケティングに専門特化した部隊を効率的に効果的に育成・活用できるからです。ただし、国内にきめ細かく流通網を持つ既存の卸売業を活用せずに、独自の販売会社を持つことはメリットもデメリットもあります。競合企業であるライオンやP&Gは既存の卸売業を活用する流通戦略を採用しているように、会社によって流通戦略は異なります。このライオンやP&Gにも強いブランドがあることを考えると、販売会社の設置が絶対に正しいとは言い切れません。販売力だけを考えると、多くの卸売業に営業展開してもらった方が効果的であるとも言えます。ただし、販売会社による流通の最大のメリットとして、メーカーのマーケティング戦略を無視した乱売に巻き込まれづらくなるなどがあります。

このような販売会社は、「〇〇マーケティング」とか「〇〇販売」というような会社名がつけられていることが多く、メーカーとの結びつきを会社名に表現しています。

因みに、この花王にも花王CMKにも、本学からかなり多くの卒業生が勤務しています。
高校生のみなさんは、簡単に「広告」や「商品企画」などのクリエイティブな仕事に就きたいと口にする人が多いのですが、営業経験がある人の企画力は完成度が違います。やはり20代のうちは営業で現場を回る経験が、30代のポテンシャルを高めてくれます。営業で実績を積んでから企画系業務に行った方が遥かに仕事はやりやすくなりますし活躍できます。

営業というとネガティブなイメージを持つ人もいますが、どんな性格でも多種多様なお得意先があるので、ありとあらゆる人が活躍できるフィールドです。営業で自分なりの最適解を模索するプロセスで見えてくるものは、自分にしか実現できない成果(ゴール)でもあります。

大学時代も、自分のポテンシャルを模索する時代です。
20歳をまたぐ4年間は、社会人になるまでの助走期間ですから、どんな仕事に就くとしても営業に関わる勉強はやり過ぎということはありません。
東京経済大学の経営学部は実践力を意識しているので、流通やマーケティングを実践的に教えています。社会人への助走は大学を選ぶ時から意識してみてください。


【学問のミカタ】
他学部やセンターからも、同じ「会社」をテーマとしたブログがアップされています。
高校生の皆さんは、他の【学問のミカタ】に是非ともお立ち寄りください。
・経済学部ブログ「会社の利益は誰のもの?
・コミュニケーション学部ブログ「「会社」はコミュニケーションの宝庫
・現代法学部ブログ「世界で最初の株式会社って?
・センターブログ「「会社」=“Company”?

文責:本藤貴康(流通マーケティング入門、流通論、地域インターンシップ担当)
本藤ゼミナールBLOG http://hondo-seminar.blogspot.jp/