2016年2月28日日曜日

東経大初!! 山本ゼミ 商工中金/商工総研 中小企業懸賞論文 準賞受賞、多摩信との地域活性化シンポジウム開催、山本ゼミOB会など

皆さん、こんにちは。山本@中小企業経営論担当です。花粉症がつらい季節になってきました。
目がしょぼしょぼしています。今回は3つの報告。

1.東経大初!! 山本ゼミ・商工中金/商工総研 中小企業懸賞論文準賞受賞!!

 山本ゼミ生が商工中金・商工総研 中小企業懸賞論文で、

論文「日本酒企業におけるインバウンド型の海外需要獲得モデルの実証と提案 
   ~多摩地域の日本酒企業の事例研究から~」

にて準賞を受賞しました。本懸賞論文は学生・実務家など幅広い層を対象にした、中小企業の産業・金融に関する論文コンテストです。1976年からの開催で、日本で最も伝統ある論文コンテストの一つであり、中小企業に関する産官学の重鎮が審査員です。以下に商工中金のwebsiteから今回の概要を引用します。




山本ゼミでは産業部門に応募していて、30本の応募論文の上位二本に入ったことになります。
これまでは慶應義塾大学や青山学院大学、名古屋大学などの学生が本懸賞論文受賞の多数を占めていたのですが、今回、東経大として初めて、入選することができました。授賞式は2月26日でした。

実は山本も今から16年前の2000年に中小企業懸賞論文の本賞を受賞していて、自分のゼミ生が同じ賞を受賞したことになります。教員冥利につきます。本研究に関しては、多摩信用金庫様や企業の皆様に大変なご指導を賜りました。心より御礼申し上げます。以下に受賞した学生の写真を紹介。

商工中金本部での受賞の模様

本学で記念に撮影しました

2.第3回 東京経済大学・多摩信用金庫 地域活性化シンポジウム:多摩のインバウンド戦略と地域資源活用を開催

2月26日に多摩信用金庫と地域活性化シンポジウムを開催しました。今回のテーマは多摩のインバウンド、すなわち、「多摩地域にどのように外国人観光客を呼び込むか?」です。自治体の担当者の方々や近隣の大企業・中小企業から、60人以上の参加者がありました。

インバウンドを推進している企業や自治体の方々、4名にご講演を頂き、全員でディスカッションをしました。3時間半と少々長丁場でしたが、熱い議論が展開されました。

山本は東経大でこうしたイベントを積極的に開催し、地域の自治体や企業と連携しています。その上で、ゼミ生を始めとする学生が地域でフィールドワークができる環境を整えています。

上記の論文受賞もその成果の一つだと考えています。登壇いただいた皆様、本シンポジウムの開催にご尽力を頂いた東経大・地域連携センターの皆様にはこの場を借りて、厚く御礼を申し上げます。



当日の風景:山本は企画とパネルディスカッションの司会を担当しました

3.山本ゼミ初のOB・OG会開催

 最後は個別のゼミの話題になるのですが、2016年2月27日に山本ゼミで初のOB・OG会を開催しました。2015年3月に卒業したゼミ生諸君が久方ぶりに東経大に来訪。6号館7階のラウンジを貸切として、パーティーを開催しました。ゼミ創設4年目にして、一つの節目を迎えることができました。このOB・OG会に関しては、東経大校友センターの方にご支援を賜りました。ありがとうございました。


ゼミOB・OGおよび現役生との記念写真


 以上、この2月末の山本周辺の出来事を三つ、報告しました。


山本聡(中小企業経営論担当)








2016年2月22日月曜日

1年生による図書館展示の試み(個人による改善編)

流通マーケティング学科の丸谷です。10回目の執筆です。今回は前回のグループ編に引き続き、1年生の科目であるフレッシャーズセミナーbの授業の一環として行っている図書館の展示企画について報告いたします。なお、フレッシャーズセミナーbとこの科目において図書館展示を行うことになった経緯に関して詳細については、2015年12月21日にアップした1年生による図書館展示の試み(グループ編)http://tkubiz.blogspot.jp/2015/12/blog-post_21.htmlを参照下さい。

前回は第9回目までに行った、4グループに分かれての図書館展示の作成までについて報告しました。今回は第10回目以降に行った個人による改善編について報告いたします。なお、グループ展示に関しては、図書館のホームページhttp://www.tku.ac.jp/library/news/017051.html で紹介していただいたこともあり、関心を持って頂いたコミュニケーション学部の松永智子先生より関連文献をご提供を頂くなど、貴重なリアクションを多く頂きました。

個人の改善提案は展示開始以降頂いた図書館の方々や私が担当する2-4年生までが在籍するゼミの学生のコメントを踏まえてなされました。

第10回授業時に頂いたコメントを整理し、第11回目以降数回かけて、各人がレジュメを作成していきました。各人は毎回改善提案の報告を作成し、作成した報告を全員が順位を付けて評価し、評価できる内容は評価し、あいまいな部分はブラッシュアップしていきました。

最終回では各人が原則1か所の改善提案を具体的に行い、実際に改善を行っていきました。
以下は各人の改善提案のための報告と報告に基づいて作成した改善するためのPOPなどの素材です。

改善提案 テーマ ラグビー
 
                                                       
改善提案 テーマ 温泉

                                                改善提案 テーマ 水族館動物園
                
改善提案 テーマ 雑誌
 
 実際の図書館での作業は開館中であることに注意して、テーマごとにグループ分けし静かに行いました。
 


 

 
黙々と作業するゼミ生
 
 全員の改善提案に基づいて展示の修正を行った後、修正後に全体のバランスを見て更なる改善がなされ、一部は授業終了後にさらに修正を加えることになりました。
 
                     全体のバランスを確認するゼミ生
 
 改善された展示はしばらくの間展示して頂けるようなので、図書館1階マガジンラックの前のブックウォールDにて、ぜひ一度ご覧ください。
                
 
                          改善後の展示
 
 今後とも機会があればこのような取り組みを行っていく予定ですので、今後の展示に向けてご意見等がございましたら、丸谷(maruya@tku.ac.jp)までご連絡頂ければ幸いです。
 
文責 丸谷雄一郎(流通マーケティング学科 教授)
 
 
 
 
 

2016年2月15日月曜日

スキービジネスを経営学的に考えると

皆さん、こんにちは。経営学部教員の柴田です。
2月の中旬というと冬の真っただ中で、今シーズンは暖冬と言われていましたが
さすがに各地のスキー場には十分な積雪量があるようです。私も、学生時代から
スキーが大好きで、大学教員というと、1月末から4月初めまでは授業がなく、
(もちろんこの間にも仕事はいろいろとあるのですが)時々平日に自由な時間が
取れるので、日帰りで空いたスキー場でスキーを楽しんでいます。それでも
趣味と実益を兼ねて、スキー場ビジネスの研究も行っているわけで、このような
「ポストバブル期のスキー場経営の成功要因」などという論文にまとめたりしています。
下の写真は、1月末に行ったガーラ湯沢スキー場から越後湯沢の街並みを眺めた
ところです。


痛ましいスキーバスの事故

1月15日未明に、国道18号線碓井バイパスでスキーバスが転落し、15人の方が
亡くなるという事故が起きました。亡くなられた乗客はいずれも激安スキーバスツアーに
参加した大学生で、ゼミの指導教員であった、法政大学の尾木直樹教授の憔悴した
姿が何度もテレビに登場するのを見ていると、大学教員としては、とても他人事とは
思えません。ご家族の方、関係者の方には謹んでお悔やみ申し上げたいと思います。
ではなぜ、このような事故が起きるのか、どこに問題点があるのか、これを経営学の
視点から考えてみましょう。

安心できる激安と、不安な激安

大学の新入生と話していると、「激安」という言葉に魅力を感じる人が結構多い
ようですね。「私が評価する外食チェーン」という題名で作文してもらうと、
(具体名を出すと差し障りがありますが)価格の安さをセールスポイントとしている
チェーンを取り上げる学生が多く見られます。「安くすることは、良いことだ。」と
いう暗黙の前提があるように思えます。でも、本当に良いことでしょうか?
小学校5年生の算数で「売上=費用+利益」という、ビジネスの基本中の基本の公式を
習います。「安くする」ということは費用や利益を減らしていくことを意味します。
この関係をしっかり理解すると、激安でも安心していられるのか、心配な激安かを
見極める目安となります。

普通に費用を投じて作ったものを安く売る場合、単純に考えると利益だけが減少します。
アパレル商品の期末バーゲンとかアウトレットセールス、賞味期限が迫った弁当の
値引き販売などが、このような例ですが、それは既に販売した商品で十分利益が出て
いるので、全体から見ればほんの一部の残りを早く売り切り、現金化したい、という
意図の現れです。それを承知で購入し、たとえば弁当も今すぐ食べる、というのであれば、
まあ中身について心配はないでしょう。ただ、これは本来であれば、もっと早く
売り切りたい商品を値引くため、恒常的なビジネスにはしにくいし、激安品を常に
大量に販売することができません。

次に「中抜き」によるコストダウン、費用削減を考えてみましょう。各地にある道の駅では
周辺の農家が栽培した新鮮な野菜が、産地直送で安い価格で販売されています。
これは輸送経費や市場での卸売業などの経費という中間費用を省いているから可能に
なることです。これは本当に安心できる格安商品なのですが、どうしても局地的な
ビジネスにとどまり、誰でもどこでもその恩恵を受けられる、という性格のものでは
ありません。

あるいは、費用の一部を他の組織が負担してくれる場合があります。昨年、各地の
自治体がプレミアム付き商品券を発行しました。たとえば、1万円で購入した商品券で
1万2千円分の買い物ができるというものです。差額の2千円は税金を使って補てん
するわけです。これにより、消費が刺激され、地元経済にお金が回るようになる、
という効果を期待しているわけです。まあ、このような地域振興政策が「良い政策」と
言えるかどうかは論議が分かれるでしょうが、利用客自身が支払うお金は減っても
購入した商品の品質には心配がないでしょう。

不安の多い激安ビジネス

一方、提供される商品やサービスの品質に不安の生じる激安ビジネスもあります。
そこを皆さんとしっかりと見極める必要があります。
商品1つあたりの売上を減らしてもビジネスを継続できるようにするためには、
費用や利益を圧縮しなければなりません。そのためには「まとめて作れば、費用も
安上がりに作れる」という大量生産を行い、「1つあたりの利益は少なくても、
たくさん売れば全体で大きな利益となる」という大量販売を行わなければなりません。
20世紀に産声をあげた経営学は、このような大量生産・大量販売を促進する学問として
体系化されてきました。このようなビジネスの仕組みがうまく機能するためには
市場が成長期にあり、どんどん規模が拡大していくことが必要です。1960年代の
日本のように高度成長経済の時期であれば、まさに大量生産・大量販売によって
市場に優れた商品を行きわたらせ、生活を豊かにすることができます。
ただし、市場が拡大しないどころか縮小するような時期に入ってしまうと、無理を
重ねて費用を削減し、安さを目立たせて、なんとかライバル企業から一人でも多くの
顧客を奪い取ろうと変な努力を必要としてきます。まずいことにライバル企業が
さらに安い商品を市場導入すると、もっともっと費用を削減してもっともっと
安さを目立たせる、という激安商品の悪循環に陥ってしまいます。そうなると、
費用削減のためには、見かけだけはなんとか立派に保っても、手を抜ける部分は
手を抜き、品質も本来維持すべき水準から落としていくことになりがちです。
これは不安の生じる激安ビジネスと言わざるを得ません。

実は縮小しているスキー・スノーボード人口

1月に転落事故をおこしたスキーバスツアーも、激安価格がセールスポイントの
ツアーのようでした。これまでの事故調査の報道を見ている限りでは、上記の
ような「不安の生じる激安ビジネス」の落とし穴にはまっていたように思えます。
海外から日本を訪れる観光客の増加にともない、貸切バスの需要自体は拡大傾向に
あり、車も運転手も引っ張りだこなのですが、スキーバスツアーは事情が異なります。
上記の私の論文を読んでもらうと、より詳しくわかるのですが、スキーやスノー
ボードへの参加人口は、以下の通り、1993年をピークとして、縮小傾向にあります。
実際にゲレンデで滑っていても、昔より空いているように感じます。


出典:余暇開発センター、自由時間デザイン協会、社会経済生産性本部から刊行の
各年度の『レジャー白書』から筆者作成

潜在的需要者が年々減少している中で、激安ビジネスを展開するのは、無理があり
過ぎます。バス運行会社は国が定める基準(約27万円)を下回る金額(約19万円)で
スキーバスツアーを引き受けていたということです。年配の、大型バスの運転経験の
乏しい運転手を採用し、有料の高速道路ではなく無料の一般道を通行する、というのも、
過剰な費用削減の結果だったのでしょう。

賢い消費者になろう

経営学は、世の中の生きた姿を学ぶ学問です。経営学の視点から見ると、常識はずれの
激安商品には、やはり非常識な費用削減がつきものだ、と言わざるをえません。
どこかに必ず無理があり、大きなリスクを伴うものであるわけです。このような目で
スキーバス転落事故を見てみると、本当に悲しい思いがしますし、このような事故に
巻き込まれないためにも、私たちはもっと賢い消費者にならなければならない、と思います。


スキー場で大倉喜八郎さんと出会う

いささか重苦しい話題が続きましたので、最後に少しは楽しい話題を。
新潟県のスキー場周辺で飲食店に入ると、本学の前身・大倉商業学校の
創立者、大倉喜八郎さんのポスターをしばしば目にします。


「なんでこんなところで喜八郎さんにお目にかかるのか?」と思うのですが、これは
サッポロビールの新潟県地域限定ビール「風味爽快ニシテ」のポスターなのです。
新潟県は大倉喜八郎さんの出身地であり、明治の実業家である大倉喜八郎さんが
創業した数多くの企業の一つがサッポロビール、というわけです。



このブログを読まれる方は未成年が多いのかもしれませんが、成人の方はぜひ
新潟のスキー場で、大倉喜八郎さんに思いをはせながら、このビールを味わって
いただきたいと思います。

(文責:柴田 高)








2016年2月2日火曜日

【学問のミカタ】 義理チョコ文化はマーケティング戦略としての基本形!

経営学部の本藤です。
もうすぐバレンタインデーですね。
バレンタインデーというのは、中学校や高校では一大イベントなんでしょうね。
僕の個人的な思い出としては、楽しいイベントだった記憶はないのですが、最近は「義理チョコ」という「新兵器」が登場して、バレンタインデーもスポーツ得意のイケメン周辺限定イベントではなくなっているようです(笑)


そもそも日本で広がったバレンタインデーの習慣は「女性が男性に愛を告白する」ことをイベントとしていることは宇宙の常識として知られています。それを百も承知の上で、「義理チョコ」という存在に目を付けて、バレンタインデー市場の裾野を拡大したプロモーションは、マーケティングとして基本的な市場拡大のための戦略です。


マーケティング戦略の考え方として、ターゲットとなる主要顧客層を想定することが一般的なアプローチです。このターゲットを絞り込むプロセスがマーケット・セグメンテーション(市場細分化)と言い、性別や年代別、価値観や行動パターンなど様々な切り口で、全体市場を分割して検討されます。したがって、当初の日本型バレンタインデーでは「好きな男の子に告白できずに悶々と過ごしていた女の子」が、チョコレートを売り込むターゲットだったと考えられます。

そんなターゲット設定ですから、誰も彼もがバレンタインデーにチョコを買うという事態には至りません。挙句の果てには、(中学生当時の自分の過去を思い返すと)バレンタインデーの前には、チョコが食べたいと思っても、お店でチョコを買いづらかったりする事態すら生じてしまいます。


でも、世の中の心優しい?女性は、「本藤君は、もらえなそうだからあげるよ」などと言いながら、単なる友達にもチョコをあげる「ターゲット顧客」が生まれて、それがエスカレートしていきます。今では、日常的にお世話になっている人にあげる「義理チョコ」だけではなく、女の子同士で交換する「友チョコ」などの習慣も増え始めています。
※我が家の中学二年の娘は女子中に通っているにも関わらず、(おそらく)彼氏がいるわけでもないのですが、バレンタインデー前の準備は物凄い剣幕でキッチンを占有して、30人分とかの「友チョコ」製作に勤しんでいます。


マーケティングでは、ターゲットとなる顧客グループ毎に、製品開発や品揃えを考え、それに応じた価格を想定して、価値伝達のための情報提供を考え、販売する場所を検討します。つまり、すべての起点であり、大前提となるのが「ターゲット設定」になります。
ここで注意しなくてはならないのが、「義理チョコ」や「友チョコ」の消費者と購入者です。一概に「ターゲット」と言っても、バレンタインデーのチョコの場合、プレゼントする人が購入者としてのターゲットですが、消費者はプレゼントされた人になります。
愛を伝えられる商品とはどんな商品(チョコ)なのか?
日頃の感謝の気持ちを伝えられる商品とはどんな商品(チョコ)なのか?
仲良しの友達に喜ばれる商品(チョコ)なのか?
そして、それをプレゼントする人(購入者)が、「たしかにこれは伝わる」と店頭で感じるようなパッケージだったり、価格だったり、プロモーションだったりを工夫していく必要があります。


市場が飽和してきたと考えたときに、ビジネス側は、市場全体の拡大を図ることを考えなければなりません。そういう意味では、バレンタインデーを女性全体を取り込んだイベントにつなげられた展開は、ビジネスにとってはありがたい展開だったと言えそうです。とは言っても、ここまで拡大したのは、僅かな市場動向を捉えて、ビジネスチャンスへとつなげた企業努力の賜物と言えます。

もう入試本番ですね。
チョコレートは集中力を高める効果があると言われています。
虫歯に気を付けながら、チョコを食べて、本番に臨んでくださいね。


本藤貴康(流通マーケティング入門、流通論、地域インターンシップ担当)
本藤ゼミナールBLOG http://hondo-seminar.blogspot.jp/