2016年1月7日木曜日

【学問のミカタ】 大晦日や三が日でもスーパーは営業中!

あけましておめでとうございます。
みなさんにとっての2015年はどのような成長を手にした年だったでしょうか?
何かを目標に励んだ人も、目標を探して励んだ人も、1年365日を過ごしていれば、誰でも何かしらの成長を手にしているものと思われます。
反省することも手にした成果のひとつですから・・・


あらためまして経営学部の本藤です。
今回の全学共通テーマは「お正月」です。
「お正月」は、多くの家庭で、おせち料理が食卓に並びそうです。
お雑煮などもお正月料理としてしか食卓に乗らないメニューかもしれません。
おせち料理は全国で似通ったものだと思いますが、お雑煮は地域によって様々です。
これは地域によってというよりもご家庭によって様々かもしれませんね。
僕の出身地である長野市であっても、お正月に友人の家でお雑煮をごちそうになった時に、全く違った具材だったり出汁だったりして驚いた経験があります。



ところで、みなさんのご家庭では、その食材は、どこで買いますか?
最近は、ネットスーパーや宅配サービスが普及してきていて、なかには「おせちセット」が配達されるご家庭もあるかもしれませんね。

とは言っても、多くのご家庭では、近くの食品スーパーに買いに行くのではないでしょうか?
小売業が大晦日まで営業するようになったのは、そんなに昔の話ではありません。
1996年にダイエーが元日営業をしたようなのですが、大晦日は営業しても元日だけお休みして、二日から営業を再開するスーパーが多いようです。
でも、GMS最大手のイトーヨーカ堂をはじめとして、大晦日も三が日も営業している店舗も多くなっています。

元旦営業をするイトーヨーカ堂
元旦だけ休みで大晦日も2日も営業するヤオコー

一般に、小売業は競争が激しい業界です。
メーカーがブランドや品質を訴求する非価格競争という戦場だけで競争している企業もありますが、小売業が非価格競争だけで戦うことは極めて難しいビジネスです。
特に、「消費者が習慣的に近接した店舗を利用する」最寄品を中心に扱っている食品スーパーとかドラッグストアなどの最寄型小売業態では、価格競争の要素を排除することはできません。
ただし、最寄型小売業のなかでもコンビニエンスストアだけは価格で集客していない点が特徴的ですが、近年ではコンビニエンスストアも価格競争の要素が入り込み始めていますが・・・

ですから、小売業にとって理想的な商環境は、競合がいない地域に出店することが望ましいと言えそうです。小売業にとっての「立地」という要素は、物凄く重要な戦略要素になります。
とは言っても、人口の多い首都圏、近畿圏などをはじめとしたところでないと、なかなか売上の数字が伸び悩むことも多く、生活者の少ない地域は「買い物難民」と呼ばれるように、最寄型小売業が存在しない地域も出てきます。

そんな中で、小売業の営業時間に目を向けてみましょう。
これまで大晦日から正月三が日までお休みだった小売業が営業したら、どのような状況が期待できるでしょうか?
最近は、多くの小売業が大晦日も元日も営業をするようになってきていますが、それまでは競合する小売業が営業していないのです。これは、遠くからお客様が来てくださる可能性が高まります。それだけではなく、競合に奪われていたお客様を取り戻すチャンスになる可能性もあります。
いまでは多くの小売業が営業するようになってきてしまったので、今度は自分のお店だけ閉めるわけにもいかなくなっていますが・・・

これと同じようなことは正月に限らずに起きています。
それが深夜営業です。
一人暮らしの生活者が増えていたり、共働き世帯が増えていたりしていて、日中に買い物をする人が減っています。逆に言えば、日中に買い物できない人が増えているとも言えます。彼らは、都市部に住んでいても「買い物難民」になってしまっていました。
彼らは、コンビニエンスストアで惣菜やお弁当を買うか、帰り道の食堂で夕食を食べるしかありませんでした。
そこで、都市部の食品スーパーの営業時間が、どんどん遅くなってきています。
そうなると、もはや価格訴求だけが問題ではなくなってきます。自宅の近くのコンビニエンスストアで買えばいいと考えさせてはなりませんから、品揃えも大切かもしれません。

営業時間の延長は、お客様の争奪戦のほかに大きな戦略要素があります。
日中の営業時間にはオフィス街で仕事をしている人の帰宅時間帯である夜間に営業すると、これまでとは全く異なるお客様の来店機会が提供できます。
極端な表現をすれば、新規で出店するのと同じような集客機会を確保できる場合があります。

深夜営業店舗が増えているウエルシア薬局


本藤貴康(流通マーケティング入門、流通論、地域インターンシップ担当)

本藤貴康ゼミナールBLOG http://hondo-seminar.blogspot.jp/