2015年10月25日日曜日

見本市・展示会に行ってみよう

皆さんこんにちは、経営学部教員の柴田です。10月も下旬になりました。
東京ビッグサイトでは自動車マニア待望の「第44回東京モーターショー2015」がまもなく開催されます。
このように、業界内の多くの企業が集まり、新製品や新技術などの企業活動を広く世の中に紹介するものを国際見本市とか展示会、トレードショーなどと呼んでいます。そのため、自分の興味ある業界・産業の見本市・展示会を見学すると、その業界・産業の最新の動向をくわしく知ることができます。卒業後はこの業界で働きたい、という希望を持っている学生ならば、就職活動の前にはその業界の見本市・展示会をぜひ見学しておくべきでしょう。

柴田ゼミでは、10年ほど前から観光ビジネス、旅行関連産業を研究テーマに加えています。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを迎えて、観光ビジネスは日本経済の中でますます重要度を高めています。国を越えて人が動き、文化や歴史の面から重要な場所を訪問し、さまざまな体験を重ねていくことは、互いに相手の国や人のことを知りあう機会となります。国と国との対立は、互いの無理解や誤解から生まれがちです。互いに相手の国や人のことを理解し合うようになれば、国と国の対立のかなりの部分が解消されるはずです。観光ビジネスは、内需を拡大するというだけでなく、大げさに言えば、世界平和にも貢献するビジネスなのです。

観光ビジネス、旅行関連産業の見本市・展示会として日本最大のものは、毎年9月末に行われる「ツーリズムEXPOジャパン」です。今年も9月26日(土)、27日(日)の2日間、東京ビッグサイトで開催されました。柴田ゼミでは、ゼミ生の皆さんにこの見本市・展示会を見学してもらっています。
同じ業界・産業に興味を持つ学生同士で見本市・展示会を見学すると、知識の幅が広がり、より多くの刺激を得ることができると思います。下の写真は会場を訪れた、柴田ゼミの学生たちです。




「ツーリズムEXPOジャパン」には、日本国内の企業や団体ばかりでなく、海外からも多くの出展者を集めています。マレーシアから本学に来ている学生は「マレーシアへ帰りたい気持ちがいっぱいでした。」という感想を送ってきています。



経営学は、生きた企業活動の姿を学ぶ学問です。皆さんも、教室の中での勉強だけではなく、ご自分の興味ある業界・産業の見本市や展示会を見学して、生きた姿に触れてみてください。

(文責:経営学部 柴田 高)

2015年10月19日月曜日

チリで訪れた博物館とテレビCMが軍事政権を倒した実話に基づいたチリ映画NO


流通マーケティング学科の丸谷です。8回目の執筆です。今回は20103月のチリ大地震で延期されていた南米チリへの現地調査を実現することができたので、少し馴染みのない国かもしれませんが、チリ現地調査の際に訪ねた「記憶と人権博物館」と博物館の展示テーマと関連が深いお勧めのチリ映画について取り上げたいと思います。
 
私は日本では西友を展開している世界最大のウォルマートという小売業者について研究しているので(詳細は、インド調査前編(201539日にアップ)に書いてありますので、そちら見て頂ければ幸いです)、ウォルマートが進出している国に関してはアフリカの一部の諸国を除いて訪問し、現地調査をしています。

予算と日程の制約もあって、首都サンティアゴのみの短期調査でしたが、地下鉄網がかなり整備されている都市ということもあり、ウォルマートが展開する小売業態に関して最低一か所ずつは訪問することができ、1週間程度の滞在にしては充実した調査を行うことができました。
 
ウォルマートが経営する食品スーパー
ウォルマートが経営するディスカウントストア
 
ウォルマートが経営する倉庫型ディスカウントストア
 

調査対象店舗の地下鉄最寄り駅であるキンタノルマル駅近くにあったのが20101月に開館した「記憶と人権博物館」(詳細は以下のサイト参照http://www.museodelamemoria.cl)でした。

チリでは東西冷戦下の1970年に世界で初めて自由選挙によって合法的にアジェンデ社会主義政権が樹立されました。しかし、アジェンデ政権は1973 年にクーデターにより倒され、アジェンデ大統領は自殺しています。1974年にクーデターの首謀者であったピノチェト将軍による軍事独裁政権が誕生し、1990年の民政移管まで続きました。そして、このクーデターから軍事政権下での人権侵害をテーマに設立されたのがこの博物館です(写真参照)



博物館の展示はクーデター当時の状況の映像や人権侵害された人々の写真を中心になされており、正直楽しい気持ちになるものではなかったですが、チリの1つの側面を知るために訪れるべき場所であるとわかる場所でした。

他方、この展示を見ているうちに思い出した映画がありました。2013年の第85回アカデミー賞の外国語映画賞にもノミネートされたNOというチリ映画です(詳細は以下のサイト参照:http://www.magichour.co.jp/no/)。この映画はハリウッド映画にも出演し、かつて『モーターサイクル・ダイアリーズ』で若き日のチェ・ゲバラの役も演じた(青春映画としても素晴らしい作品)、ガエル・ガルシア・ベルナル演じる広告マンが投票までの27日間にたった115分だけ許されたテレビ放送枠を用いて民政移管をもたらした実話に基づく作品です。
 
CMは世界を変えられるのか!?(写真参照)」というキャッチコピーに表れているように、私は専門分野であるマーケティングに関連した映画として注目して見に行ったのですが、みるみるうちに作品に引き込まれ、苦しみながらも正しいことのために頑張る姿に感動しました。


       (C)2012 Participant Media No Holdings,LLC.
 
サンティアゴはなかなか訪れる機会のない皆様も映画NO20154月にDVDソフトが日本でも発売されているので、ぜひご覧になるといいお勧めの映画です。
 
文責 丸谷雄一郎(流通マーケティング学科 教授)

2015年10月11日日曜日

金沢ゼミ調査合宿:学生が金沢市長を表敬訪問し、地元新聞に取り上げられました

山本(中小企業経営論担当)です。寒くなってきましたね。
8月30日~9月1日に、北陸新幹線開通で盛り上がっている金沢で、恒例のゼミ調査合宿
を行いました。そこでは、金沢の名所旧跡の観光だけでなく、

① 多摩信用金庫職員(東経大OB)による就職講演
② 金沢市役所 職員の方からのレクチャー
③ 金沢市長への表敬訪問
④ 地元新聞からの取材
⑤ 金沢の東経大OBとの交流

と二泊三日とは思えないほど、中身の濃い経験をしてきました。東経大生が体験する授業の
例として、皆さんにご報告しようと思います。ダイジェストは下を見てもらうとして、今回の白眉は

・金沢市長への表敬訪問・意見交換
・地元マスコミからの取材
・金沢の東経大OBとの交流

でした。元々、東経大OBの方が本学にいらして、「金沢でのゼミ合宿」をご紹介されたことをきっかけに、とんとん拍子で、今回のプランが決定しました。教員としても、学生としても、大変に有意義な経験をさせて頂きました。こうしたOBとのつながりも、東経大の誇るべき資産だと思います。

 なお、ゼミ・ゼミ生は地元新聞の記者の方々から、金沢の中小企業調査に関して、取材を受け、今回の金沢合宿の模様とともに地元新聞に複数回、掲載されました。これも非常に貴重な経験だったと思っています。関係各位の皆様、ありがとうございました。

Twitterに今回の合宿の模様が学生の写真入で書かれています。そちらも見てください。

山本ゼミTwitter
https://twitter.com/yamamoto_zemi

今をときめく金沢市の市長と面会しました。


その後は、東経大OBの方々に
ホテルまでいらして頂きました。ありがとうございました!!


なんと、地元の新聞のトップニュースに掲載されました!!



~山本ゼミ、夏合宿のダイジェスト~

1日目:新幹線に乗って、出発



ホテルで、多摩信用金庫の職員の方から講演(東経大OBの方です)
その後は懇親会を開催しましたが、それはプライベートなのでカット。




2日目①:金沢市役所で、市の空き家保存事業のレクチャー



2日目②:金沢の老舗酒造・福光屋様への取材


3日目①:金沢の伝統企業 箔座様訪問。金箔を作られています。
(金の茶室です!!)



3日目②:インタビューの後は、21世紀美術館です!!


3日目③:教員は一人、兼六園に行きました。





2015年10月5日月曜日

【学問のミカタ】 ハロウィーン


東京経済大学の本藤です。

10月のお題は「ハロウィーン」です。

 知恵蔵2015(コトバンク)によると、ハロウィーンは「毎年1031日に行われる、ヨーロッパを発祥とする祭り。もともとは秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事で、111日の、カトリックの聖人の日である万聖節(All-hallow)の前の晩に行われる」とあります。馴染みのあるエピソードとしては、子供たちが仮装をして「Trick or Treat!」と言って近所にお菓子をねだりに回るアメリカの風習かもしれません。

 とは言うものの、日本で隣近所に「Trick or Treat!」と言ってお菓子をねだり回る風習はほとんど見られません。

 このハロウィーンで仮装する習慣が日本で広がり始めてから、そんなに年月は経っていないと思われます(少なくともボクの大学時代にはハロウィーン・パーティなどという企画は聞いた記憶がありません)。日本は、都市部では近所の人たちとオープンに交流する文化は薄れてきていますし、地方ではハロウィーンの風習がそもそも広まっていませんし、せいぜい町の商店街が飾り付けをする程度ですから、ハロウィーンは商業者か都市部の若者限定のイベントと言えそうです。

 
 ボクの印象としては、商魂猛々しい日本企業が「消費促進のために導入してきた欧米の風習」ではないかと思っているので、古くはクリスマスやバレンタインデーの延長線上にある“輸入されたイベント”という色合いが濃いんですよね。でも(だから?)Googleで「ハロウィーン 販売」で検索をしてみると、854万件もの通販サイト(と思われる)検索結果が表示されました。つまり、多くのビジネスがハロウィーンでの需要創造に取り組んでいるということになります。

 このハロウィーンの市場規模の推計を日本記念日協会は行っていますが、同団体による試算では、昨年(2014年)は既に約1100億円に達していると発表されています。ここでは「こどもから大人まで楽しめる多世代性。仮装という非日常性。パレードという同調性。パーティーという共感性。10月下旬という他に大きなイベントがない季節性。しかも“ハロウィーン”にはシンボルとなる魔女やカボチャがあり、そのイメージカラーの黒やオレンジがある。なぜ10月31日なのかという理屈よりも、その日にはひとつのテーマでみんなで楽しもうという空気が優先されることで気軽にその輪の中に入りやすい」と分析されています。


 社会的風習としてマーケットを創造するという視点で考えると、より多くの人を巻き込まないと様々なビジネスが参入しづらく、結果的に市場が加速度的に膨張していきません。マーケティングの基本的な理論にプロダクト・ライフ・サイクルという考え方があり、そこでは導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つのフェーズに分割して市場を捉えています。この導入期(新たな市場を生み出す段階)では、競合企業であっても参入を促して「市場の拡大」を図る時期とされており、このハロウィーンも様々な業界が参入することは、先行企業にとってもメリットになってくる場合が多いのです。

 日本記念日協会から指摘されていたように、特にこの10月という時期は、一般的にはイベントが不足する時期でもあり(大学では文化祭シーズンですが)、夏休みの後でクリスマスまで間隔が開くタイミングですので、国内需要の拡大に貢献するアイデアは大切ですね。
 
 















参考資料
一般社団法人日本記念日協会(http://www.kinenbilabo.jp/?p=228


本藤貴康(流通マーケティング入門、流通論、地域インターンシップ担当)
本藤ゼミナールBLOG http://hondo-seminar.blogspot.jp/