2015年5月4日月曜日

【学問のミカタ】ブログ全学コラボテーマ『スポーツ』

スポーツ用品のブランディング!
 
経営学部の本藤です。今月の全学共通テーマは「スポーツ」です。

 

花粉の季節も終わり、天気のいい日も多くなってきて、スポーツには絶好の季節を迎えています。

高校生にとってのスポーツの舞台は部活ですね。
どんなウェアを着ていますか?
どんなグローブやラケットを使っていますか?
学校指定やユニフォームだと指定されたものになりそうですが、プライベートでスポーツを楽しむ時には、何を考えて選びますか?
そんなあなたの意識が、スポーツ・ブランドを育てていく戦略的な視点になります。

ところで世界第一位のスポーツ・ブランドを知っていますか?

  













第一位がナイキで、第二位がアディダスです。

国内第一位はアシックスで、第二位がミズノ。
ちなみに、ナイキの売上高とアシックスの売上高は、桁が二つほど違います。
これは顧客の購入理由の違いが大きく影響しているのかもしれません。
僕の趣味はテニスなのですが、ミーハーな想で錦織圭が使っていたウィルソンのSTEAM95を使っています(彼は今季からBURN95を使用)。そもそもはロジャー・フェデラーのファンだったので、ウェアはナイキを愛用しています。
たぶん、サッカーであれば本田圭佑に憧れて同じブランドを使ったり、野球であれば田中将大に憧れて同じブランドを選んだりすることがあるのではないでしょうか?
 










 
お菓子や清涼飲料水のように、特に“違い”を感じづらい商品は「コモディティ商品」と呼ばれますが、これらの商品は“価格が安い”とか“おまけが付いている”というように、その商品自体の機能や品質以外の部分で選択購入してもらうしかないケースが多く見られます。こういう商品は、売場での見せ方が大きく影響します。
しかし、スポーツ・ブランドに関して言えば、テレビや雑誌を通じてのマス広告が有効に働くケースが確認できます。
(僕が好きな分野の)テニスで言えば、長期に渡ってトッププレイヤーに名前を連ねているロジャー・フェデラー(世界ランク2位)やラファエル・ナダル(同4位)はナイキと長期契約を結んでいます。嬉しいことに、世界ランク1位のノバク・ジョコビッチと5位の錦織圭はジャパン・ブランドのユニクロと契約をしてくれています。
ユニクロと言えば、日本国内でのイメージとしてはコストパフォーマンスのいい機能性衣料というイメージが強いのですが、もしかしたら海外のテニスファンにとってのブランド・イメージは違うのかもしれません。
このように、スポーツ用品のブランディングは、広告塔になってくれる有名アスリートとの契約で、ブランド・イメージを構築する方法も選択されます。
 
 
 
 
これが、ブランド・ポジショニングのひとつです。
サッカーをする人、野球をする人、テニスをする人で、それぞれのブランドのポジションは変わってきますし、更に憧れるトッププレイヤーが誰かによっても、人それぞれにブランドのポジションは変わってきます。
このポジショニングとは、特定ブランドの消費者の心理的位置づけを、差別的優位性として確立するマーケティング・アプローチになります。そして、このポジショニングはターゲットとなる顧客を誰に設定するかによっても、期待できる成果が変わってきます。
スポーツ・ブランドとして世界第一位のナイキと、国内第一位のアシックスは、マーケティング戦略のアプローチが質的に異なっていそうです。
僕の個人的なイメージでは、アシックスはバリバリ体育会系のイメージが強いですね。
アシックスは、部活で汗を流して、大きな大会を目指す利用者が主な顧客層で、あくまでもスポーツシーンでの利用が中心ではないでしょうか?
 


 
これに対して、ナイキやアディダスは、必ずしもスポーツシーンだけの顧客層ではなさそうです。ナイキの契約アスリートは、スマートなフェデラーや力強いナダルのほかにもお洒落なマリア・シャラポワなど、アスリートだけではなくモデルとしての彼女のイメージもブランド・イメージとして活かしているように感じられます。その成果として、機能的なスポーツ用品だけではなく、カジュアルウェアとしてのポジショニングを構築しています。 
 


最近は、街中でも、ヒールではなくスニーカーをお洒落に履いている若者が増えていますが、この時にアシックスやミズノではなく、ナイキやアディダスの方がお洒落なコーディネートになると感じさせるのもマーケティング戦略の成果なのです。その成果として、ナイキやアディダスは、アシックスやミズノと桁が2つも違う売上規模を実現していると言えます。
 
 
文責:本藤貴康(担当:流通マーケティング入門、流通論、地域インターンシップなど)
   ※本藤ゼミナールの活動案内(http://hondo-seminar.blogspot.jp/)を始めました。