2015年3月17日火曜日

グローバル・キャリア入門の説明会を行いました

皆さんこんにちは、経営学部教員の柴田です。
昨日、3月16日に、2015年度から開講する新規科目「グローバル・キャリア入門」の説明会を行いました。
今回は経済のグローバル化と大学教育について考えてみたいと思います。

企業活動のグローバル化
「グローバル化」という言葉から、皆さんは何を連想するでしょうか?
日本に限らず、世界各地に工場や営業所を何か所も持つ大企業や、そこで働く、英語を駆使して
世界中を忙しく飛び回るビジネスエリートの姿でしょうか?たしかに、1970年代ぐらいの
「グローバル企業」には、そのようなイメージがあったように思います。私などは、まさに
その時代に学生生活を過ごし、会社に就職したために、いずれは自分も海外赴任してみたいと
思っていました。海外にいくつもの活動拠点を持つ企業は、一部の大企業に限られていましたし、
その中でも海外赴任や海外出張というものは、仕事で成果を上げた社員へのご褒美的な色彩が
あったわけです。

しかし1985年のプラザ合意以降に状況は一変し、大企業に限らず中小企業でも海外との取引や
海外現地生産が、ごく普通に行われるようになりました。21世紀に入って、この傾向はますます
強まっています。地球規模で見て、航空会社や航空路線が増え、航空運賃が相対的に安上がりに
なれば、国境を越えて人の動きが活発化します。造船業が盛んになり、多数の大型貨物船が
就航するようになると、輸送費用が相対的に安くなり、原材料や商品の動きも国境を越えて
活発化します。なにも日本から海外に出ていくだけがグローバル化ではなく、日本で暮らして
いても、私たちの身の回りで外国人と接触する機会はどんどん増えていますし、日常的に
購入する、いかにも日本的な商品にも中国製や東南アジア製のものが多く見受けられます。
このように、今日では日本企業の活動の場は日常的にグローバル化しており、そこで働く人たちは、
好むと好まざるとに関わらず、海外を視野に入れた働き方をしなければならなくなってきている
わけです。

グローバル化に適した人材育成
上記のような状況にもかかわらず、実は2004(平成16)年以降、海外に留学する日本人学生の
数が減少に転じ、新入社員へのアンケート結果でも海外勤務を希望しない人の割合が増えて
いると言われています。「若者の内向き志向のあらわれ」であると言われますが、これは
とても残念なことであると思います。今こそグローバルに活躍できる人材が求められており
大きなチャンスが広がっていると考えるべきだと思うのですが・・・・・
政府も、国をあげてグローバル化に適した人材育成を進めようとしています。首相官邸が
まとめたグローバル化した世界の経済・社会の中にあって育成・活用していくべき
「グローバル人材」の概念としては、概ね以下のような要素が含まれるとされています。
 要素Ⅰ:語学力・コミュニケーション能力
 要素Ⅱ:主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感
 要素Ⅲ:異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー
この中で「コミュニケーション能力」「主体性・積極性」などは、以前から就職に際して
重視される能力と考えられているものです。つまり「グローバル人材」とは、従来から言われる
「就職に強い人材」に加えて、外国の異文化を柔軟に受け入れる能力を加えたものだと考える
ことができるでしょう。

グローバル化に適した人材育成と東京経済大学の取り組み
これまで、本学でもグローバル化に適した人材育成として、提携校への交換留学生の派遣を
進めたり、あるいはこのブログでも何回か取り上げてきたように、ゼミ単位で海外ゼミ研修に
派遣したり、さまざまな取り組みをおこなって、異文化コミュニケーション能力を高める
機会を増やしてきました。2015年度からは海外ゼミ研修に派遣するゼミの数を増すなど、
海外での異文化体験を得る学生を増やそうと努力しています。その一環として、2015年度から
経営学部で開講するのが「グローバル・キャリア入門」という科目です。これはタイの
バンコクにある泰日工業大学経営学部と提携して、海外から日本へ、日本から海外へ、という
双方向の交流をおこなうユニークな科目です。タイはASEAN圏にあって、多くの日本企業が
進出している国で、今後ますます日本との関係が深まると予想されます。5月には、まず
泰日工業大学の学生が本学に短期留学し、日本を学び、本学学生との交流企画をを行います。
次に8月には本学学生がタイに渡り、泰日工業大学での交流企画に参加するとともに、
現地の日系企業などを訪問し、見学や現地で働く人たちの生の声を聴く機会を設けます。
交流企画の中では、「タイで日本茶をもっと飲んでもらうためには、何が必要か?」などの
テーマを決めて、タイと日本の両方の学生が一緒になって問題を考える機会を設けます。
このようにして、現地の大学に留学するほどではないにせよ、タイの人たちのものの見方
考え方に触れ、さらにタイの日系企業で働く人たちの経験談を聞くことで、短期間に効率よく
グローバルな体験を深めることができます。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、日本国内にいてもグローバル化の
潮流には無縁ではいられなくなります。そのために海外から日本へ、日本から海外へ、という
双方向の交流をおこなう科目を開設することにしたわけです。皆さんのなかに、「留学する
ほどではないけれど、海外を体験してみたい」という方がいらっしゃったら、この科目に
トライしてみませんか?

(文責:経営学部 柴田高)