2014年12月31日水曜日

「教科書の改訂―グローバル・マーケティング(第5版)改訂に向けての取り組み」


流通マーケティング学科の丸谷です。4回目の執筆です。前回に引き続き、敢えてゼミ課外活動同様に重要だけれど退屈と思われがちな講義について取り上げてみたいと思います。私が担当している講義は、前回取り上げた「流通マーケティング入門」と「グローバル・マーケティング論」です。

今回は残りの「グローバル・マーケティング論」のテキストの改訂を現在行っているところなので、教科書の改訂についてとりあげてみようと思います。

私がこの内容を取り上げようと考えた理由は、高校までの授業と大学での講義の大きな違いの1つがこの部分にあるからです。

突然ですが、皆さん、「教科書検定」って聞いたことありますか?

よく歴史問題とかでニュースになったりしますが、あまりなじみのない言葉ではないでしょうか?

高校までの教科書は基本的に文部科学省の検定を通過したものだけが使われているのです(文部科学省のホームページに検定を通った教科書が掲載されていますが、その種類は多いとはいえません)。

大学教員は一部の基本科目を除いて多くの場合教える内容を自分で決めることができるので、教科書を自由に選ぶことができますし、多くの教員は自分で書いた教科書を使っています。私も今回取り上げる「グローバル・マーケティング論」に関しては、2006年に教科書を出版して以降自分で書いた教科書を使って講義をしています。

この科目に関しては、科目名称も「国際マーケティング論」からここ数年で「グローバル・マーケティング論」に変化しているのにも表れているように、内容も変化し続けている科目です。マーケティングは市場で行うことですから、企業が活動する市場範囲が拡大し、拡大した市場で行うことが変化すれば、内容自体が大幅に変わってしまうので、教えるべき内容も変化してしまうのです。実際、海外の大学で出版されているこの分野の教科書は非常に頻繁に改訂を行っており、その内容もかなり変化しています。

私が教員になった1999年と今を比較しても、日本企業の主な海外市場は北米から中国や東南アジアなどの新興国に変化していますし、その変化のスピードは年々加速しています。そのため、グローバル・マーケティングで教える内容も毎年変化しており、理想を言えば教科書も本来なら1年ごとに変える必要があるくらいです。

とはいえ、私も毎年改訂するほどの余裕はなく、出版事情の兼ね合いもあり、2006年に初版出版以降、2008年に第2版、2010年に第3版、2012年に第4版と改訂を進め、ちょうど今20154月に向けて第5版改訂を進めています。

改訂作業にあたっては欧米を含む基本内容にかかわる研究動向が載っている主要研究ジャーナルや主要教科書の変化を常にチェックすると同時に、履修者の皆さんから頂いている改善提案の募集が非常に役立っています。今回の改訂でも半分以上は皆さんの日頃の質問や改善提案をきっかけにしたものです(以下のフォーマットは改善提案を募集する際に利用しているフォーマットです)。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
私はマーケティングとは「個を互いに尊重し価値を高めあうこと」と考えていますが、皆さんの先輩である履修者の皆さんのご協力は私だけでなく、これから私の講義をこれから受講する後輩、私の書いた教科書を使って講義をなさっている諸先生やその講義を受講する皆さんのことも尊重し、価値を高め合う行為であると考えています。
丸谷雄一郎(グローバル・マーケティング論担当)
 


 
 
 
 
 
 

2014年12月18日木曜日

Step Forward

みなさま。
寒さが厳しさをます中、風邪などひいていませんか?
流通マーケティング学科の森岡です。

先週土曜日、経営学部では合同ゼミ研究報告会が開催されました。
5号館の各会場で経営学部のゼミに所属する学生が日頃の成果を懸命に発表していました。80にも迫ろうかという報告数を考慮すれば、まさに経営学部の冬の一大イベントと呼ぶにふさわしいかもしれません。

そのような報告の中には、学外の大会・コンテストにおいて表彰されたものも含まれていました。大学生観光まちづくりコンテスト、多摩大学生まちづくりコンペティション、Risk and Insurance Seminar、KUBICなど学外に出て、厳しい環境で戦い抜いてきた各報告は、東経大の経営学部を象徴するようなものであったと言えるでしょう。

しかし一方で、そのように光り輝いて見える部分の背後には、相当な失敗や挫折が積み重ねられていることを忘れてはなりません。言葉に表すと簡単ですが、それを実際に経験している者にとってはそうではありません。言葉にならない悔しさ、涙、そして血の滲むような努力。本当は逃げ出したかったのかもしれません。

厳しいようですが、その経験を乗り越えてもなお、戦いに勝ち残るのは一部です。また、目に見える結果こそ、世の中の評価対象になるのです。そうすると、勝ち残れなかったという結果には何の意味もないのでしょうか?

答えは是であり、否です。

もし、悔し涙を流すのみであれば、勝ち残れなかったことは何の意味ももたらさないかもしれません。しかし、それを本当の意味で糧にして、いかにして勝ち残れるのか、いかにしてよりよいものにできるのか、考えて考えて進み続けるのであれば、勝ち残れなかった結果は、そのときに必然として起こったことであって、次のステージへ進む原動力となりえるでしょう。

今、それを無に帰すか、進み続けるか。

少しでも多くの高校生・1年生の皆さんが、真なるものに目を向けて、この報告会を更に活性化してくれることを期待したいと思います。


文責:森岡耕作(マーケティング論・他担当)

2014年12月9日火曜日

流通論って何を勉強するの?

 こんにちは。
 流通論を担当している本藤貴康です。
 ずっと「流通論担当」という自己紹介をしてきたように思うのですが、流通論と言ってもピンと来ない人も多いかもしれませんね。簡単に言うと、流通というのは商品流通のことをメインに考える研究領域になります。

 商品流通というのは、大きく見ると「メーカー」⇒「卸売業」⇒「小売業」⇒「消費者」という流れ(チャネル)になるのですが、このメーカーから消費者までの売買活動や売買行為全体の流れ(金額)が大きくなると“経済が活性化”するということになるわけです。
 モノ不足の時代であれば、メーカーが如何に効率的に大量の製品を送り出すかがその鍵を握っていて、モノ余りの時代であれば、消費者が如何に多くの商品を購入するかが鍵を握ることになります。そういう意味では、いまのような時代には「小売業」と「消費者」の間の流通量(販売量)を増やすことが社会的要請でもあり、ここがボク(本藤)の研究領域のメインステージでもあります。

 そこで注目されているのが、ここ2年くらいで急激に注目度が上がってきた統計学やデータ分析というアプローチ手法です。これは数学が必要な印象を受けますが、そんなことはありません。それよりも重要なのは「仮説構築」です。「こうした方が買いたくなるんじゃないかなぁ」とか「こういう言葉を使った方が分かり易いんじゃないかなぁ」とか「スーパーマーケットよりもネット販売でしょ」という仮説です。そして、この仮説に基づいて店頭実験をしたり消費者調査をしたりして、その仮説をブラッシュアップしていきます。その結果は、構成比で分析したり、売上の数量や金額を比較したりして検証します。実際のメーカーや卸売業や小売業のビジネス現場でも、データ分析の基本は円グラフ(構成比)や棒グラフ(絶対値比較)や折れ線グラフ(比率比較)です。小学校や中学校でやるデータ分析レベルです。

 このあたりはボク(本藤貴康)の得意分野です。近年急速に広まりつつあるID-POSデータの実践的な活用方法について、ゼミでは既に導入しているのですが、今年度は12月から授業(
流通論)でも教え始めました。ボクの授業やゼミでは、数学ができなくても全くハードルのないデータ分析アプローチです。
 もちろんネット上のビッグデータを考えると、推計統計学を本格的にできた方がいいに決まっています。数学にアレルギーがなければ、これからそのスキルの価値が落ちることのない先進的な統計学のスキルは、同じ流通論を担当していて、マーケティング・リサーチ論を教えている田島先生が東経大で教鞭をとっています。この先生が、超難解な統計学をメチャクチャに分かり易く教えてくれます。流通分野に関しては、実務営業色の濃いボク(本藤)と統計学などのスキルにつながる田島先生というのは東経大流通分野自信の布陣です。
 マーケティングと流通というのは研究領域が重なりまくっていて、なかなか線引きができないのですが、マーケティングについても、サービス・マーケティングの北村先生はきめ細かな講義や演習は定評がありますし、ソーシャル・マーケティングの小木先生はマーケティングの視点を教えてくれます。海外流通に詳しいグローバル・マーケティングの丸谷先生、アカデミックな本流のマーケティングを教えている近藤先生と森岡先生はマーケティングの全体像を体系的に教えてくれます。あらためて挙げてみると多士済々です。流通分野やマーケティング分野での専門知識を学ぶ上で、東京経済大学は素晴らしい環境があります。

(文責:本藤貴康)

2014年12月2日火曜日

中小企業講演会・ゼミ説明会&山本ゼミの外部報告とオープン・ゼミなど

皆さん、こんにちは

山本@中小企業経営論・担当です。紅葉の季節もそろそろ終盤。本格的な冬の季節の到来で、寒くなってきましたね。

さて、東京経済大学 経営学部では、学生に新たな学びの機会を提供しようと日々、試行錯誤しています。今日はそんな経営学部の取り組みを紹介します。そして、その延長線上に、ちょっとだけ、山本ゼミの最近の活動を報告します。


1.多摩地域の中小企業講演会

 経営学部の加藤先生の企画で、通常の授業の枠外で、多摩地域の優れた中小企業の経営者の方々にご講演を頂くものです。10月以降、大体、1ヶ月に一回のペースで開催されています。
この企画は多摩信用金庫さんのバック・アップを頂いており、山本も幾つか手伝わせてもらっています。学生にとっては、普段、教室で学んでいる経営学に関して、「経営者の想い」や「企業の現場」を学ぶ場としても、とても有用なはずです。

           
                           多摩信用金庫の方の講演。講演者は東経大の卒業生です。                                    


 なお、同じような企画として、経営学部の柴田先生の「多摩地域の中小企業訪問バス・ツアー」があります。山本も参加しますが、そのうち本blogで柴田先生がこの企画をご紹介なされるのではないかと思います。皆さん、お楽しみに。


2.経営学部ゼミ説明会
 
 経営学部ではゼミ活動が盛んなのは、このblogの読者の皆さんは既にご承知だと思います。経営学部では、加藤先生などが中心になられて、


「どのゼミがどのような活動をしているか」

といった情報を一年生によりよく理解してもらうため、11月上旬から4週間、お昼休みに交代でゼミ説明を行っています。毎回、多くの一年生が参加して、熱心に話を聞いてます。山本ゼミでも、11月11日と21日の2回、ゼミ説明をさせて頂きました。その後、多くの一年生が山本ゼミのオープン・ゼミ(一年生が個別のゼミを見学すること)に参加してくれました。ゼミ説明会の後、こうした光景は、経営学部のそこかしこで見られているのではないかと思います。


11月11日のお昼のゼミ説明会(ちょっと暗いですね)



その後、一年生13名が山本ゼミのオープン・ゼミを見学しに来てくれました!!





3.多摩地域 まちづくりコンテスト&多摩大学での外部報告
 
  さて、山本ゼミでは11月8日に中央大学で開催された「多摩地域まちづくり・コンテスト」で報告してきました。ここに参加したことがきっかけとなって、多摩大学のイベントでも報告することになりました。こうやって、いろんな縁が生まれていっています。東経大では授業やゼミ、そして、学内外の様々な企画のなかで、いろんな学びの機会があるんですね。


まちづくり・コンテストでの山本ゼミ生の集合写真



(文責:山本聡)