2014年9月29日月曜日

プロモーション企画の店頭実験に向けての最終プレゼン

東京経済大学本藤貴康ゼミナールでは、大塚製薬ポカリチームとのコラボ企画を店頭で実現するために、2014年9月28日に大手小売業様に向けて最終プレゼンを行いました。

当日は、大塚製薬様から支店長、チェーン担当の方が挨拶にお越しになり、大手小売企業から常務取締役、地区担当部長、営業戦略担当部長、ドライ食品担当バイヤーなど要職にある方々の前で、本藤ゼミ4チームがそれぞれ睡眠時間を削りながら励んだ企画提案をプレゼンしました。

プレゼン当日の早朝まで、チームの仲間と励んだ成果を、たった15分のプレゼンで伝えなければなりません。自信をもって臨んだチームもあれば、ギリギリまで満足できずに試行錯誤を繰り返したチームもあり、プレゼンの後には隣接する店舗を見学しました。

今回のプレゼンは、小売企業様のID-POSデータを提供して頂き、それに基づいての提案でしたが、常日頃使っているデータの構造や定義と異なり、時間的にも過去の本藤ゼミのプロジェクトとして最もタイトなスケジュールの中での取り組みでしたが、最終的な小売企業様からの講評では、「実務家では発想できない着眼点で、売り場で試してみたい」とか「メーカーからの提案を受けることが多いが、こんな提案をしてくれないかという事例として活用したい」といったコメントを頂きました。

ゼミ生と小売企業様の方々との昼食会もありましたが、常務から「我が社のお店は、お客様の視点に立った売場づくりを考えて取り組んでおり、カテゴリー別のテリトリーや権限などは無視して、売場づくりをしているので、この取り組みを出発点として、これからも一緒に取り組んでいきましょう」という嬉しい言葉がありました。

10月7日には、実際にゼミ生が考えた売場を4店舗でゼミ生が実際に作ります。大きな期待と不安を胸に抱きながら、ゼミ生たちの企画が形になります。


 
 
文責:本藤貴康(流通論、流通マーケティング入門、地域インターンシップ担当)

2014年9月7日日曜日

シンデレラエクスプレス&クリスマスエクスプレス(小木ゼミ通信 vol.5 ~徒然なるままに、夏休みの出来事~)

 
 経営学部の小木紀親です。5回目の投稿となりました。
 

 各先生のブログ投稿の話も面白いですね。
 とりわけ、先回の北村先生のプロ野球のマネジメントの話は面白かったです。ちなみに、北村先生からの挑発的な課題はすべて答えることができ、中日ドラゴンズをこよなく愛する私としては面目を保つことができました。数年前からビジターチームが勝ってもヒーローインタビューが行われるようになり(ナゴヤドームで巨人が勝っても巨人選手のヒーローインタビューがあるなど)、これも先の話と照らし合わせると、納得がいく話となりますね。


 さて、この間夏休みだったこともあり、小木ゼミは「学ぶときはとことん学び、遊ぶときは王様のように遊ぶ」のモットーに則り、夏休みは各々の充電期間であり、個人研究にいそしむ時間であり、合宿時の出し物を練習する時期?でもありました(ゼミ生は課題提出を忘れないようにね)。
 したがって、ゼミ合宿(9月14日~17日)もまだですし、まとまったゼミ活動はしておりませんので、今回は、「小木の徒然なるままに、夏休みの出来事パートⅠ・Ⅱ」と「今後の小木ゼミスケジュール」をお送りしたいと思います。


 夏休みの出来事 パートⅠ(シンデレラ&クリスマスエクスプレスのCM)


 8月と年末年始は仕事は入れないという私的なモットーはどこへやら、とにかく仕事で忙殺された夏となりました。セミナー講師、講演、集中講義、論文執筆、原稿校正、審議会、出張調査などなど、あっという間に夏休みが過ぎていってしまいました。。。。

 そんな中、仕事で駅前(自宅前)の百貨店を見て回りしているときに、「わたせせいぞう展」をやっているのを見つけました。しかも、初日とくればテンションも上がります。
 

 わたせせいぞうさんは、我々世代からすると「ハートカクテル」(『モーニング』掲載)などで有名で、最近ではNHK連続小説「花子とアン」の原案者・村岡恵理さんの絵本「アンを抱きしめて」の挿絵や、「続・最後から2番目の恋」劇中歌「T字路」のジャケットのイラストを描いていることでも知られています。

 とにもかくにも、そこで目にした1枚の版画に一目惚れしてしまい、即買いしてしまいました。東海道新幹線開業50周年作品で50枚限定、名古屋駅が舞台のイラストです。なんとその時期のT百貨店の紙袋にその絵がプリントされて、よくみると多くの人がその紙袋を嬉しそうに持っていました。あとから聞いたところ、プレミアムの紙袋になったとか!
 当版画は即日完売だったらしいので、紙袋ではなく現物を購入できて、本当にラッキーだったかもしれません。

                 ↓ その版画がこれ! ↓


東海道新幹線開業50周年記念
夢のシンデレラエクスプレス 50枚限定

 版画タイトルの「夢のシンデレラエクスプレス」といえば、やはりJR東海のCMを思い出させます。
 山下達郎の「クリスマスイブをテーマ曲にしたクリスマスエクスプレスのCM(88年深津絵里、89年牧瀬里穂、90年高橋里奈、91年溝渕美穂、92年吉本多香美、00年星野真里)と、ユーミンの「シンデレラエクスプレス」をテーマにしたシンデレラエクスプレスのCM(87年河合美佐、92年横山めぐみ)は、広告・プロモーション好きの私からすると、もしかしたらマーケティングを学ぼうと思い立ったきっかけになったともいえる作品群です。
 一般的に深津さんと牧瀬さんのCMが評価が高いですが高橋里奈さんのCMは個人的に好きです。YouTubeでもたくさん流れているので、一度ご覧ください。きっと素敵な想いを描くことができるでしょう。

 ところで、このような衝動買いは、私にしては本当に珍しい行動です。かなり吟味してしか商品を購入しない私ですが、「限定」「名古屋駅」「懐かしさ」「自宅近」などのキーワードが折重なって、思わず買ってしまったのかもしれません。消費者問題の講義では、衝動買いを戒めることが多いのですが、実は私もやってしまうということが証明されたわけです。。。。そこには、消費者心理や消費者行動を巧みに突いたマーケティング戦略も見え隠れするのですが、これを分析すると自分自身の購買行動にちゃちゃを入れることになりそうなので、今回はやめておきたいと思います。

 先の版画の現物は、9月10日前後に届くことになっています。いまから、どこに飾ろうか迷うところです。


 夏休みの出来事 パートⅡ


 
 次に、この間、調査出張に3つ行ってきたお話を簡単にしておきます。

 ①佐賀県武雄市の取り組み
 佐賀県武雄市のまちづくりは特筆すべきものがありますが、なかでも市立図書館は、ツタヤとスタバが入店していることでも全国的に有名になっています。地域活性化を研究テーマとしている私としては、本当に興味深い訪問となりました。詳しくはソーシャルマーケティングの講義でお話しします。

なんともまあモダン、武雄市図書館
館内にはTSUTAYAとスターバックスが入店
販売用の本と貸し出し用の本はスタバでコーヒーを飲みながら読むことができます。

 ②世界遺産登録後の富士山周辺の地域活性化事情
 世界遺産登録後の富士山周辺の地域ビジネスは非常に活発化していることが分かりました。様々な観光資源に恵まれ、人のにぎわいが戻ってきたようで、どこに行っても周辺は交通渋滞でした。世界遺産には三保の松原も含まれているのですが、観光客アップで松枯れが起こっていて、バスでの近くへの乗り付けが制限されるようになったとか。。。集客にともなうマイナス面も見逃してはなりません。
 富士五湖を筆頭に、水上バス、新東名のサービスエリア、白糸の滝などをめぐり、B1グランプリ第1回・第2回連続グランプリの「富士宮焼きそば」の総本山・お宮横丁で締めました。充実した視察となりました。これも詳しくはソーシャルマーケティングでお話しします。


白糸の滝
この日は本当に水量もあり、爽やかでもありました。

 ③彦根市及び近江八幡周辺
 やはり彦根城はすばらしいです。おとなりの三成の居城だった佐和山城址の方が個人的にはとても気になりましたが、、、。彦根城の下の博物館では、ゆるきゃらでおなじみの「ひこにゃん」が時間割で登場。でも、こちらも個人的には「くまもん」の方が圧倒的に好きです。そして、この近辺で大きく幅を利かせているのは、あのクラブハリエで有名な「たねやグループ」です。どこに行っても「たねや」さんのお店はお客で一杯です。たしかに、クラブハリエのバームクーヘンはうまい!が、その他は、特にベーカリーなどは私の口にはあいませんでした。でも、商品開発力というか、地域活性化力というか、とにかく発想力と発信力はピカイチです。今後の全国展開が楽しみです。

ひこにゃん登場。こいつ観客慣れしとるで。
半径3メートル内には近づけないほどの厳重なガードです。

クラブハリエの工場兼カフェ
焼きたてのバームクーヘンを食べられるのはここだけ。


 以上、とりとめもなく、夏休みの出来事を書きてきましたが、大学教員は夏休みには本当にそれぞれが様々なことをやって過ごしています。こうして充電したものを、次の教育や研究に活かしているのです。


 今後の小木ゼミのスケジュール


 最後に、小木ゼミの今後のスケジュールを紹介して終わります。

9月14日~17日 ゼミ合宿
9月中旬 進一層トライアル(旧ゼミGP)結果発表
9月24日~ ゼミ開始(個人研究発表、コラボ企画、就職相談会)
11月22日 小木ゼミOBOG会
12月13日 経営学部ゼミ発表会
12月毎週~ 小木ゼミオープンゼミ(12月以降のゼミを1年生に聴講開放)
12月中旬 TFT・健康ランチ販売及び「国分寺物語」シンポジウム
1月中旬 こんなお菓子あったらいいなプロジェクト発表会


 次回(11月中旬)は、小木ゼミの成果活動をたっぷり報告していきたいと思います。乞うご期待。


   小木紀親 (経営学部 教授)





  


 

2014年9月1日月曜日

合同ゼミ報告―プロ野球の顧客満足向上策の重要性―

こんにちは。流通マーケティング学科の北村です。
今回は、つい先日、大阪で開催してきた合同ゼミについて紹介します。最後にクイズもあります。ぜひ挑戦してみて下さい。


私のゼミは毎年、専修大学・神原ゼミと、京都産業大学・福冨ゼミとともに、2日間の合同ゼミを開催しています。例年は、1日目に3ゼミ合同の少人数チームを作り、フィールドワーク(現場調査。詳しくはhttp://tkubiz.blogspot.jp/2014/06/blog-post_24.html参照)。2日目に各ゼミでの調査・研究プロジェクトの発表をしています。

しかし、今回は、京産大のゼミ生の一部が産学協同プロジェクトとして、プロ野球球団オリックスのファーム(2軍)の活性化策を考えているということもあり、1日目を京セラドーム大阪にて、特別講義付きのオリックス・バファローズ1軍戦観戦企画としました(福冨ゼミと共同研究している京産大・井村ゼミも特別参加)。試合前の講義は、球団職員の三上さんによるもの。関西人のノリと、バファローズ愛を存分に感じさせる方でした。

軽妙なトークの中に、年俸と勝率の相関など真面目な解説も。

三上さんによると、プロ野球の試合時間(大体3時間強です。http://www.npb.or.jp/gbp/2013time.html参照)のうち、ボールが実際に動いているのは、20分程度だそうです。つまり、その他の大半の時間では、ボールは投球前のピッチャーの手中にあったり、回や表裏の交代中のため死んだボールだったりするのです。

確かに、そこが野球ファン以外から「野球ってつまらない」「試合時間が長い」と思われる要因の1つでもありますよね。

そこで、球団は、既存のファンを維持し、新規ファンを獲得して、楽しんでもらおうと頑張っています。今回の試合中では、例えば「回や表裏の交代時に、大画面に映された観客とジャンケン」という企画がありました。

(ちなみに私が以前に観戦した米国メジャーリーグの試合では、「大画面に映された観客がキスをせねばならない」という企画がありました。カメラマンは見た目でカップルらしき人を選んでいるのでしょうが、日本人からすると、誰もが恥ずかしがらずにキスすることに、驚きと米国ならではのノリの良さを感じました)

チームの強化はもちろん、ボールが動いていない間もファンを楽しませる工夫も重要なのです。

というわけで、当日はこうした「観戦のポイント」をいくつか聴いた上で観戦したので、顧客満足を向上させるための球団による工夫や球場内での仕組みを多々発見できました。


では、お待ちかねのクイズです。これは私が個人的に三上さんから出されたものです。
試合終了後、その試合で活躍した選手に対して行われる「ヒーローインタビュー」を実施する5つの意図とは、何でしょうか?
5分間あげます。できるだけ多く考えてみて下さい。

いかがでしょうか?
ちなみに私が考えたのは、下記のとおりです。
1.選手の声をファンに直接届けるコミュニケーションの場を作る
2.活躍した選手が「また頑張ろう」とモチベーションを向上させるのを促す
3.スポーツニュースで取り上げられる素材(映像・写真)をマスコミ各社に提供する
4.選手の背後にあるパネルに広告を出していたり、選手への賞品を提供(食べ物1年分など)しているスポンサーの名を売る
5.選手の隣にいるインタビュアーやマスコットキャラクターの名を売る

ちなみに、三上さんによると、2と3はいずれも「選手の価値向上」で同じこと。5は、間違いではないが正解ではないそうです(確かに、無理やり考えたものでした)。
私はギブアップして、三上さんの言う「正解」を聞いたのですが、確かになるほどと思えました。

というわけで、皆さんはぜひギブアップせずに、「1.選手とファンのコミュニケーション」「2.選手の価値向上」「3.スポンサー対応」以外の、4つ目および5つ目の意図を考えてみて下さい!






・・・といっても、難しいですよね。では、第一ヒントです。以下は、当日撮った写真です。よく見てみると、気づくことがあると思います。
ヒーローインタビュー中。この中に正解も写っていますよ。






・・・どうですか?やはり分かりませんか?では、第二ヒントです。選手目線でも、スポンサー目線でもダメです。球団・球場運営目線で考えてみて下さい。






・・・ギブアップしますか?では、最後のヒントです。写真をよく見て下さい。ヒーローインタビューを間近で見ようとネット裏に集まっている人もいれば、背を向け帰ろうとしている人もいますよね。






・・・分かりましたか?正解は、

4.ヒーローインタビューまで残る観客とそうでない観客を作ることで、観客が球場を出るタイミングをずらし、出入り口や交通の混雑を減らす。
5.ヒーローインタビューを間近で見ようと、もともとの座席から移動していた観客が、ネット裏の座席の良さを知ることで、次回以降の席のプロモーションとなる。

だそうです。
5について補足です。指定席と自由席の間は、試合中には柵があり、係員もいるので移動できませんが、試合終了後は柵が撤去され、係員は別の場所に配備されます(恐らく出入り口や帰路誘導)。よって、値段の安い自由席で観ていたファンも、ネット裏など値段の高い席に移動でき、その席からの見え方を確認できるというのです(球団としては、次回は値段の高い席で観たい、と思わせられたらOK)。



納得できたでしょうか?なお、ここで私が言いたいのは、こうやって何かの意図を考えることは、すごく良いトレーニングになる、ということです。

皆さんは高校生だったり、大学生だったりして、自分の選択でお金を使う機会が増えてきている時期だと思います。あくまで本人としては、自分の意思でお金を使っていると思っているでしょう。しかしその背後には、皆さんに自然とそうさせる仕掛けがあるはずなのです。つまり皆さんは、仕掛けにまんまとハマっただけだとも言えるのです。

そこで、これから通学途中の道や、電車内や、コンビニの店頭で、考えてみて下さい。「なぜこの企業はここに広告を出したんだろう?」「どうしてこんな色でこんなメッセージにしたのかな?」「きっとこれは・・・をターゲットにしたんだろうな」「だとすると、私なら・・・というメッセージに替えた方がよいと思うのにな」など。こういうことを考えていくと、企業側の意図に気づくことも出てくると思います。

皆さんも数年後に社会に出たら、今度は他人にお金を使ってもらう機会を作ることを考える立場になります。これは、得意先企業との商談でも、最終消費者相手の店頭販売でも、基本的に同じです。こうしたトレーニングは、仕掛ける側になれるか、仕掛けられる側のままでいるかを分けるポイントになるという意識で、今後取り組んでほしいと思います。

2日目終了後、梅田駅での集合写真。すごい人数です!