2014年4月28日月曜日

オンとオフ両方で鍛える-「企業研修プログラム」



こんにちは。経営学部でリスクマネジメント論および保険論を担当しております柳瀬です。今回で3度目の担当です。今日は、私が、複数の先生方と合同で担当している「企業研修プログラム」という授業のお話をしたいと思います。


この授業は、経営学部におけるいわゆる「インターンシップ」科目として位置づけられており、夏季休暇期間中、1週間から2週間程度、企業の現場に赴いて、経営活動、マーケティング活動、流通活動等の実際を体験できるという点がその特徴の一つとなっています。

 


その意味では、「これは、単なる、現場での職業訓練のための授業かな?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、そうではありません。実は、通常の「インターンシップ」科目とは大きく異なる点が一つあります。

では、その違いとは何でしょうか。それは、夏季休暇期間の企業での研修(オフキャンパスでの研修)に先立って、通常講義内で、会社研究と業界研究を個人単位ならびにグループ単位で徹底的に行うということです(オンキャンパスでの鍛錬)。そして、オンキャンパスでの鍛錬の場では、『会社四季報』という企業情報誌がフル活用されます。『会社四季報』には、日本のすべての上場企業に関する様々な情報が網羅されています。また、その中身も、売上高や利益、株価をはじめとする「会社の数字」だけでなく、誰が大株主で誰が経営者か、従業員の平均年収はいくらか、といった多様な情報も集約されています。


 



一般に、この種の企業情報誌の利用者は、実際に株式取引を行っている投資家や、銀行をはじめとする金融機関の関係者、企業の経理や財務部門の担当者、というイメージが強いのですが、実は、経営学部で学ぶ大学生にとって、最良の学習用資料の一つでもあります。例えば、簿記や会計を勉強している学生さんにとってみれば、日頃、学んでいる仕訳や決算書の作成などの仕組みやその背後にある考え方が、企業の姿どのように表現しているのかということを、実際の「会社の数字」をふまえて、しっかり考えることができます。また、経営戦略やマーケティングを学んでいる学生さんにとっても、企業の意思決定や行動の成果が、「会社の数字」にどのように反映されているのかということを、実際の企業を題材にじっくり考えることができます。


このように考えると、日頃から学んでいる専門科目の知識を、実際の企業に適用するための効果的な手段として、『会社四季報』を活用しない手はないのです。いわば、専門科目で学び考えた知識を、体にしみこませるための練習問題の宝庫が、「会社の数字」をはじめとする様々な企業の情報を網羅的に収録する、この種の企業情報誌なのです


「企業研修プログラム」では、この『会社四季報』をボロボロになるまで、手あかがついて黒ずむまで、学生が何度も何度も読み返すことを目標にしています。そして、そのことを可能にするような講義の工夫、宿題の設定などを、複数の教員が試行錯誤を繰り返しながら作り上げています。




と、ここまで読んで下さった方は、次のような疑問を持つかもしれません。「つまり、この授業って、インターンシップがメインではないの?」と。ちょっと、待ってください。実は、それも違うように思います。
この授業に数年間携わってきた一教員の個人的な感想かもしれませんが、「企業研修プログラム」という授業の目的は、経営学部に設置されている様々な専門科目が実際の企業との間でどのように関連付けられるのか、この点を自分の頭で考える機会を提供することにあるのだと思います。


その意味では、夏季休暇期間中に実際の企業の現場に赴くこと(オフキャンパス研修)も、通常講義内で、『会社四季報』という会社情報の宝庫を徹底的に探検すること(オンキャンパスでの鍛錬)も、どちらもこの授業の目的には合致しているのではないでしょうか。


最後に、この授業のシラバスに記載されている、講義の目的をご紹介したいと思います。


「インターンシップ科目はキャリア支援科目の1つとして位置付けられる場合もあるが、この企業研修プログラムは経営学部に設置されている専門科目の仕上げ科目として位置付けられている点に特徴がある。」(2014年度シラバスより)



文責:柳瀬典由(経営学部 教授)