2024年2月13日火曜日

コストコ、ウォルマート及びソリアーナの競合により会員制ホールセールクラブがしっかり定着したメキシコ

 流通マーケティング学科の丸谷です。63回目の執筆です。私は「グローバル・マーケティング論」を専門としており、海外でどのようにマーケティングを行うかについて研究しています。大学の年2回ある長期休みに海外現地調査のために出張してきました。このブログでは、米国、インド、中国、チリ、ペルー、ブラジル、ケニア、ガーナ、英国など、多くの国々での出張について取り上げてきました。最近は各国のコストコについて取材を開始しており、今回は夏休みに現地調査した英国に続き、メキシコのコストコについて取り上げます。

今回現地調査したコストコ

 コストコのメキシコ市場参入は古く、コストコの前進であるプライスクラブが1992年に当時の現地大手小売企業の一角を占めていた小売企業コメルシアル・メヒカーナ(コメルシ)との合弁により参入しました。なお、2012年に同社から株式を買い取るまで合弁は20年間続きました。今回の現地調査では日程と急激な物価高騰と円安の影響もあり、メキシコシティ周辺に限定はされてしまいましたが、1号店も含めて3店舗のコストコと現地での競合企業の店舗を現地調査できました。

   ソウマヤ美術館の真向かいに立地にするコストコ・ポランコ倉庫店の外観                                          
 1店舗目はコストコ・ポランコ倉庫店です。コストコは会員から会費を集め、内装などに凝らない施設でまとめ買いしてもらうことによって低価格を実現しています。そのため、店舗立地は自動車でのアクセスがよい幹線道路沿いの巨大駐車場を安価で確保できる郊外立地が多いです。

 ポランコ倉庫店の立地は世界的にみても例外的であり、メキシコシティの中心部の高級住宅地に立地した20092013年には世界第1位の大富豪であったカルロス・スリム氏が自身の所有する多数の美術品を無料で公開する外観も特徴的なソウマヤ美術館の真向かいに立地しています。日本でいえば美術館か、高級ブランド店などが多い六本木といった場所をイメージすると近いです。                                                                        

 コストコ・ポランコ倉庫店の顧客購買行動を観察してみると、日米英に比べても購入点数は相対的に少なく、各国で人気のパンや青果があまり売れていないようでした。コストコ現地調査前後に、ポランコ店と隣接する既述の元同じコメルシ傘下であったシティ・マーケットと、同一モール内に立地するハイパーマーケットのチェドラウィ・セレクトを観察してみると、ポランコ倉庫店の立地に関する1つの仮説が思い浮かびました。

 コストコは同店を出店した1998年当時国際展開に対して現在ほど積極的ではなく、経験もなかったため試行錯誤の時期でした。そのため、現地のパートナーであったコメルシの意向が一定程度作用し、同社の当時の主要顧客であったメキシコの中間層や高所得階層に、高級スーパー、ハイパーマーケットとうまく使い分けて利用してもらうように近接させたのでないかという仮説です。経営母体が変わっているため、今となっては確認することも難しいですが、3店舗は明らかに経営が変わった現在でも品揃えを商品領域ごとにすみ分けていることが観察できました。

コストコのメキシコ1号店(サテライト倉庫店)の外観

 2店舗目は1992年にコストコの前進であるプライスクラブとして開店したコストコ1号店のサテライト倉庫店です。同店が立地するサテライトはメキシコシティに隣接するメキシコ州に立地し、日本でいえばさいたま新都心くらいの場所です。今回は地下鉄6号線と7号線の終点エル・ロサリオ駅からタクシーを使い、20分くらいかけて向かいました。周辺には大型商業施設が多くあり、週末であったこともあり、駐車場はすべて埋まっていました。品揃えはポランコ倉庫店とはかなり異なっており、ポランコ店では周辺店舗と棲み分けがされているように見えましたが、サテライト店では青果、パン、魚にも注力していることがわかりました。購入量も日本や英国ほどではないが、ポランコ店よりは多いようでした。こうした傾向はなんとか最終日に少し訪れることができた3店舗目のアルヴァーロ・オブレゴン倉庫店(1店舗目よりは都心に近いが、2店舗目の1号店よりは都会に近い店舗)でも同様でした。

 日本よりもこの業態の展開の歴史が長く、競合も厳しい状況を踏まえると、メキシコシティ以外の都市圏でも品揃えに関する工夫があると考えられるので、機会を見て確認していこうと考えています。

ウォルマートと同一モールに出店するサムズクラブの外観

 なお、コストコのメキシコでの市場地位は、メキシコ小売市場全体を主導するウォルマートが展開する会員制ホールセールクラブのサムズクラブの業態別シェア65.5%に次ぐ第2位の30.3%です。会員制ホールセールクラブとしては、既述のソリアーナ社が展開するシティ・クラブも存在するが、業態別シェアは4.2%であり、ウォルマートやコストコのパートナーであったかつてのライバルのコメルシとの競合上展開しているに過ぎないといえます(業態別シェアはユーロモニター社による2021年のデータによります)。

 実際、コストコ・サテライト店が大盛況であった同日にシティ・クラブを訪れましたが、シティ・クラブが出店するスケートリンクが正面にある郊外型巨大モールには家族やカップルの顧客が多く週末に訪れていたが、シティ・クラブは平日よりは少し顧客が入っていたものの店内は閑散としていました。 

シティクラブの入るParque Via Vallejoの外観
 会員制ホールセールクラブが地元企業も含めた長い競合によりしっかり定着したメキシコ
におけるこの業態の発展に関して、地方での状況にも着目しつつ、今後とも注目していこうと考えています。
(文責:流通マーケティング学科教授 丸谷雄一郎)


2024年1月1日月曜日

メキシコ生まれの私がお勧めするメキシコを知るための映画3選

流通マーケティング学科の丸谷です。62回目の執筆です。今回は東京経済大学図書館よりTKU Library Lunch-time Sessionのスピーカー依頼を受け、「メキシコ生まれの私がお勧めするメキシコを知るための映画3選」というテーマでお話しさせてもらったので、講演の内容をとりあげます。 

TKU Library Lunch-time Sessionのポスター
TKU Library Lunch-time Sessionは継続的に東京経済大学図書館がお昼休みを利用して行っているイベントです。今回が12回目です。テーマは図書館の利用促進につながれば、自由とのことでした。しかし、年度内開催という希望があり、時間もなかったため、詳細は、経営学部ブログ202017月(https://tkubiz.blogspot.com/2021/07/)で紹介した京都外国語大学ラテンアメリカ研究所からご依頼を頂いて行った講演内容をアレンジしました。

講演の様子

今回は30分という短い時間だったのでメキシコの変化を象徴する『ローマ』、『1994』、『そして俺は、ここにいない』3本に絞りました。

現在のローマ地区の街並み
 『ローマ』は2015年に『ゼロ・グラビティ』でラテンアメリカ人初の米国アカデミー賞監督賞受賞者となったアルフォンソ・キュアロンが自身の幼少期(1970年代前半)の想い出を、巨額をかけて思い入れたっぷりに白黒の美しい映像で作ったところにあり、当時の中流家庭とその家政婦の日常が描かれます。2000年まで続いた長期与党政権の中期に当たるこの時期、冷戦下で認めれていた米国庇護下の保護主義の中で、伝統的な格差が固定され、格差への反発も一部起こっているという状況で、この映画で描かれる学生運動もその一部でした。描かれる中流家庭は当時メキシコシティに駐在していた頃の両親からおぼろげに聞いていた姿とも重なり、個人的にも思い入れも強い作品です。
 なお、この作品は第75回ヴェネツィア国際映画祭最高賞金獅子賞、第76回ゴールデングローブ賞外国語映画賞、監督賞、2019年第91回アカデミー賞同年最多の10部門にノミネートされ、外国語映画賞・監督賞・撮影賞の3部門を受賞しています。

1994』はそのタイトル通りメキシコが保護主義から新自由主義に変わり、グローバル化に一気に飲み込まれた瞬間を切り取ったドキュメンタリーのシリーズです。199411月に、NAFTA(北米自由貿易協定)が発効し、『ローマ』で描かれたある意味固定された格差はさらに広がり、メキシコのある意味よい中流は没落していきます。このシリーズの中でも、米国による関与で大統領にしてもらったサリーナス元大統領が本人にまつわる疑惑に関して出演して当時を語る部分は、メキシコに強い「さすがネットフリックス」だなと感心させられます。メキシコにとって象徴的な年1994年というタイトルも潔いですし、的を射ています。
モンテレイの風景
『そして俺は、ここにいない』は、『1994』によりメキシコでも影響が強まったグローバル化に強く影響を受けたアメリカと、安定が失われたメキシコの国境沿いの街モンテレイという現在のメキシコを象徴する都市を舞台に繰り広げられる物語です。私はモンテレイに数回現地調査で訪れ、上記の写真のような風景を多く見ましたが、その時に感じたグローバル化の中で新たに建てられた空虚な街という感じを、非常にうまく表現できています。主人公が南米コロンビア沿岸地方に伝統的に伝わるリズムと舞曲であるグンビアを独特の衣装で踊る姿はもの悲しさとともに、無理に希望を見せることもないところは、日本の大学生にも感じるグローバル化の中での閉鎖感を感じさせます。

私は学生時代ミニシアターを中心に年間100本以上映画を見ていましたが、上記3作品はいずれもネットフリックスで鑑賞した作品です。かつてならミニシアターで放映された作品の多くは、ネットフリックスなどサブスクサービスで気軽にみられるようになっています。ミニシアターが減っていく現状を憂いつつも、ミニシアターの多くは都会にあったため、地方でも時間を気にせず見れるというメリットもあります。あまりにも選択肢が広い状況で今回は、私の個人的な想い入れも強い、メキシコを知るためのお勧めの3作品を紹介させてもらいました。少しでも参考なったらうれしいです。

(文責:流通マーケティング学科 丸谷雄一郎)

2023年11月13日月曜日

イギリス北部商都リーズ近郊のアズダのスーパーマーケット事業発祥地を訪ねて

流通マーケティング学科の丸谷です。61回目の執筆です。私は「グローバル・マーケティング論」を専門としており、海外でどのようにマーケティングを行うかについて研究しています。今回は前回(2023925日公開)に続き、イギリス出張報告第2弾として、北部商業都市リーズについてとりあげます。イギリスはイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つに分かれ、イングランドは9つのリージョン(地域)に、リージョンは州に分かれています。リーズが属するヨークシャー・アンド・ザ・ハンバー・リージョンも5州に分かれており、リーズは5州の1つであるウェスト・ヨークシャー州の州都です。首都からの距離や街の成り立ちを考えると、リーズは仙台くらいのイメージでしょうか?

ロンドンからリーズさらにアズダのスーパーマーケット事業発祥地への経路

リーズはイングランド北部ウェスト・ヨークシャー州の州都であり、産業革命後はイングランドの東西を結ぶリーズ・リヴァプール運河の東の起点として発達した都市です。中心部にあるリーズ駅へは、イギリスの首都ロンドンの北への玄関口であるキングスクロス駅から高速鉄道で北へ2時間半弱かかります。こうした地理的な特徴を活かしてプライベートブランドを販売するお店が日本にもたくさんあるマークスアンドスペンサーや私の研究してきたウォルマート傘下として小売第2位にもなったことがあるアズダという現在でもイギリスの主要小売企業の発祥地となりました。

マークスアンドスペンサー1号店(ペニーバザール店)

マークスアンドスペンサーは1884年にリーズ市内中心部に現在もあるカークゲート・マーケットに、マイケル・マークスがペニーバザールという名の小さな店を開くことが発展の基盤を築きました。同社はプライベートブランドの質が高く、食品、衣料品、家庭用品などの高品質のプライベートブランドを幅広く提供し、日本でも北海道から鹿児島まで現在でも同社のプライベートブランドを販売する店舗があるほどです。

マークスアンドスペンサーが展開する高級スーパーフードホール
同社は総合的な品揃えの大型店とともに、イギリスの主要都市に日本でいえば成城石井のような高級スーパーを大型店の2倍以上の600店以上展開しています。イギリスの物価は現在非常に高く、日本円の安さもあって、私もマークスアンドスペンサーの食品には何度もお世話になりました。ネットにも注力していて日本でもイオンと提携し話題のネットスーパーであるオカドのイギリス法人の50%の株式を2019年に取得しました。
運河沿いの本社アズダハウス
アズダはリーズ駅の南にある運河を渡って徒歩5分の場所に本社アズダハウスを現在も構えています。
サウス・エルムサル駅
同社はライフワークとして研究しているウォルマートが1999年から2020年まで株式を保有してきた企業です。ウォルマートに買収された頃にはテスコに次ぐ第2位の小売チェーンでしたが、セインツベリーとアマゾンに逆転され第4位となっています。当初牛乳生産や流通の事業を営んでいましたが、1958年にアスキス(Asquith)スーパーマーケットをリーズから電車で30分のサウス・エルムサル(South Elmsall)駅から徒歩8分くらいのポンテクラクト(Pontefract)に出店し、後にイングランド北部から全国チェーンを構築していきました。
アスキススーパーマーケット1号店
現在では1号店の跡地はホームバーゲンズ(Home Bargains)というディスカウントストアチェーンが店舗を構えています。ホームセンターの横の図書館の隣には現在イギリスでシェアを伸ばしているハードディスカウントストアのアルディが店舗を構え、道を挟んだ正面にはアズダのスーパーマーケット(Moorthorpe店)が営業していました。 

なお、ウォルマートは現地でガソリンスタンドチェーンなどを展開するEGグループに20212月にアズダの株式売却を完了し、英国市場から撤退済みです。私はグローバル・マーケティング研究において不十分と考える撤退や事業縮小の重要性を踏まえて、撤退や失敗した市場であるドイツ、韓国、日本、ブラジル、アルゼンチンなどの成功できなかった市場へも機会があれば訪問し、撤退戦略や事業縮小戦略についても検討しています。今回のリーズ訪問での経験は撤退や事業縮小を考えるために非常にいろいろなヒントを与えてくれました。

(文責:流通マーケティング学科教授 丸谷雄一郎)

 








2023年9月25日月曜日

コロナ禍後初の海外出張イギリスのコストコなどを訪ねる

流通マーケティング学科の丸谷です。60回目の執筆です。私は「グローバル・マーケティング論」を専門としており、海外でどのようにマーケティングを行うかについて研究しています。大学の年2回ある長期休みに海外現地調査のために出張してきました。このブログでは、米国、インド、中国、チリ、ペルー、ブラジル、ケニア、ガーナなど、多くの国々での出張について取り上げてきました。今回は、20202-3月にガーナでの調査を行った後、コロナ禍開始後初めて海外に出張したので、イギリス出張についてお話ししようと思います。私の研究対象は、かつて日本では西友を傘下に持っていた世界最大の小売企業ウォルマートです。ウォルマートの世界中の店舗を調査してきました。最近では、ウォルマートに次ぐ第2位の売上高を誇るコストコについても研究しており、今回はコストコのイギリスの店舗とその競合他社について取材してきました。

 

コストコ・レディング店の外観

コストコがイギリスに進出したのは、日本に進出する5年前の1993年です。当時、イギリスでは小売業の出店に厳しい規制がなされるようになり、大手小売企業であるテスコやセインツベリーなどもその規制に従いながら、店舗をさらに増やそうとしていました。そのため、外資であるコストコの出店は容易ではないと考えられていました。しかし、コストコは会員制倉庫型店舗として進出を許可され、これが彼らの利点となりました。一般の小売業者が抱える都市計画に基づく規制が適用されないことが決定され、立地の制約が少なくて済んだのです。実際、ウォルマートがイギリスに参入した際に買収したテスコやセインツベリーのライバルであったアズダも規制に苦しんだため、買収された後も、イギリスでの成功が難しかったとされています。

イギリスのコストコ出店順、出店日及び出店地域

コストコは現地規制をうまく回避し、30年間で29の倉庫店を展開し、閉店することなく成長してきました。結果として、2021年までの時点でアメリカ、カナダ、メキシコに次ぐ第4位の倉庫店数を持つ小売企業となりました。将来についても、20238月の現地調査の間に14店舗の大規模な出店が報道されるなど、事業エリアを拡大する計画とみられます。

今回の現地調査でも、コストコが規制を回避するための工夫が見受けられました。コストコの会員カードは海外でも有効であり、イギリスでの利用も可能ですが、会員になる条件が厳しく(詳細は、https://www.costco.co.uk/membership-individual-questionsを参照)、書類の審査も厳格です。このようなチェックはコストコの競合他社である卸売企業でも行われており、私が訪れた店舗でも入店自体が難しかったです。今回の現地調査で実際に訪れたコストコ・レディング倉庫店では、入店時に店員の方よりいくつか質問があり、情報を手書きで記入するなど、日本やアメリカの店舗に比べて厳しく、普通の小売業とは異なる取り組みが見られました。このチェックはかつて日本に進出していたプロ向けの卸売企業マクロで行われていたものに似ていました。

コストコ・レディング倉庫店の立地

今回の訪れたコストコ・レディング倉庫店は2002年に開店し、ロンドンのパディントン駅から電車で25分の場所にあります。レディングは繊維産業が盛んで、大学もあります。この地域は交通が便利で、伝統的な産業や大学が立地しており、東京経済大学の立地する国分寺市に似た環境です。

コストコに隣接する場所に設置された風車

コストコ・レディング倉庫店は風力発電の風車が隣接してあり、周囲には大型ホームセンターや他の大手小売企業が多く出店しています。平日の朝にもかかわらず、コストコのガソリンスタンドには行列ができ、ガソリンはイギリスのコストコでも人気の商品であり、29の倉庫店のうち19店舗にガソリンスタンドが併設され、増加してきています。事前の調査で、コロナ禍の影響で他の企業が品揃えを減らした食料品の売り場を増やしているという情報を得ました。店内を確認すると、生鮮品の品揃えが充実しており、イギリス産の商品に重点を置いていることがわかりました。また、複数の国から商品を輸入し、多国籍企業からの仕入れにも力を入れていることが確認できました。これについては、現地調査を行わないと理解が難しい側面もあり、海外調査の価値を再認識しました。

テスコエクストラのカーブサイドピックアップ

今回はコロナ禍開始後最初の現地調査ということもあり、日本以上に進む非接触への取り組みも注目していました。レディング駅の反対の北側から少し離れた場所に立地したテスコでは、高齢者の方がクリックコレクト・グローサリー(ネット予約し店舗駐車場に設置された倉庫から出してもらい受け取る)の駐車スペースに次々に入ってきていました。日本でも少しずつ普及はしていますが、アルディ、リドルなど万引き防止を重視した厳しい取り組みを行っているディスカウントストアを除けば、コンビニに至るまで、セルフレジの普及状況は大手小売企業に関しては進んでいるように見えました。

(文責:流通マーケティング学科教授 丸谷雄一郎)



2023年8月14日月曜日

アジア市場経済学会第27回全国研究大会を開催

流通マーケティング学科の丸谷です。59回目の執筆です。今回は2023年7月8日-9日の2日間アジア市場経済学会第27回全国研究大会を開催したので、大学の重要な役割である研究成果の共有の手段である学会全国大会での活動について取り上げていきます。

学会開催場所を知らせる看板
私はグローバル・マーケティング担当の教員ですので、マーケティング関連の学会とともに、ラテンアメリカやアジアといった地域別で区分された学会の会員でもあります。多くの学会は地域別に行われる部会と呼ばれる研究を年に数回、全地域を対象にした全国大会を年に1回行い、上記の活動を通じた成果を幅広く社会に還元するために学会誌を発刊するというのが基本になっています。

私が今回実行委員長を仰せつかり開催したアジア市場経済学会も地域を2つに分けて東部と西部に分かれて数回部会で研究報告を行い、学会誌(アジア市場経済学会年報)を発行し、かつては紙での印刷が中心でしたが、現在では多くの学会と同様に、ネット上で誰でも容易に見れるようになっています(上記学会についての詳細は。アジア市場経済学会 (jafame.jp)を参照)。ちなみに、最新号では査読と呼ばれる学会員による掲載の可否を含むチェックを経て、アジアの市場での活動を研究対象とした8本の論稿が掲載されました。

コロナ禍になって以降学会の多くはZoomによるオンライン開催が主流となり、アジア市場経済学会もここ数年は対面での開催はされていませんでした。Zoomでの開催も参加のし易さというメリットもあるのですが、学会後に学会報告を踏まえた非公式の交流や意見交換が減るというデメリットは大きいです。特に経験やつながりの少ない若手研究者にとっては特定の領域の主要研究者と人脈ができるというメリットは大きく、私も院生の頃にできたつながりから専任の内定を頂いたり、分担執筆の機会を頂いたり、メリットを多く享受してきました。今回退任される会長から対面での開催をしたいので実行委員長になって欲しいという申し出があった際にも、諸先輩が若手研究者だった私のために培ってきた伝統を思い浮かべました。

学会の全国研究大会を開催するのには多くの学内の関係者の皆様の協力が不可欠であり、改めて東京経済大学の手厚い支援を実感することになりました。私が窓口となっている研究課に学会開催をしたいと相談すると、研究課を中心に体制が組まれ、日程や会場の設定など準備が進められ、1カ月前には当日までの準備や当日の運営に関係のある多くの部署の皆様を集めた会議も行われ、かなり細かい各部署とのすり合わせが行われました。

実際の運営に関しては実行副委員長をして頂いたかつての所属先で私のTAをしてもらっていた現在は学会の中心的存在の一人である先生が多くを担われ、私は大学側との交渉や会場となる本学所属教員しか担当できない主に会場管理を担いました。
学会開催の様子

学会が始まると活発な議論がなされ、当日参加の方もかなりあり盛り上がりました。特に、懇親会は久しぶりの対面ということもあり、例年ないぐらい活発な懇親がなされ、2時間の時間めいっぱい盛り上がり続けていました。この光景は昨年9月に行った久々のゼミ合宿の感じとも似ており、対面での開催のメリットを強く感じ、それなりに大変でしたがやってよかったという充実感が得られました。
懇親会の様子
大学の教員は教育者と同時に、研究者でもあり、学会は研究活動の1つの重要な手段であるので、今回は学会開催について取り上げました。
文責:流通マーケティング学科教授 丸谷雄一郎









2023年6月26日月曜日

都庁近くの工学院大学図書館との相互利用が開始されたので利用してみました

 流通マーケティング学科の丸谷です。58回目の執筆です。今回は2023年6月5日(月)より本学と包括連携協定を結ぶ工学院大学と図書館の相互利用が始まったということで、早速利用してみました。

工学院大学「学術情報センター 工手の泉(新宿キャンパス)入口

図書館のホームページによると、
本学在学生・教職員等は、工学院大学「学術情報センター 工手の泉」(新宿キャンパス・八王子キャンパス)を以下の通り利用することが可能です。
■利用できる方:本学の学部学生・大学院生および専任教職員、図書館長が認めた方
■利用期間:在学・在籍期間
■利用可能サービス: 館内閲覧 、図書の貸出(延長なしの2冊・2週間)、 データベース等の利用(館内利用のみ、一部使用できないものがあります)
■利用方法:直接訪問し「利用カード」を提示  ※初回利用時に、学生証(または教職員証)の提示及び申請書を記載することで「利用カード」(単年度ごと要申請)が発行されます 
とのことだったので、早速利用してみました。

初めての利用であったため、図書館の方に利用カードの申請をお願いしました。申請を待つ間に東京経済大学からの利用状況を伺うと、6月13日時点で私が一人目とか思いきや、二人目とのことでした。

発行頂いたカード(氏名を記入し利用開始しました)
経営学部ブログで紹介したいのですがと事情を説明すると職員の方が快く館内を案内してくれました。

館内は改装されたばかりとのことでとてもきれいであり、学習スペースも非常に充実していました。食事はできないそうですが、館内にはいい感じの自販機もあり、水筒やペットボトルも持ち込み可能だそうです。
リラックスしながら学習できる空間

パソコンなどを置いて学習もできる空間

自販機も設置されています

新宿都庁近くの高層ビル街という好立地を考えると、本学の学生さんにとって就活の空き時間に資料を調べたりするのにも利用できそうです。
新宿都庁近くの高層ビル街という好立地の工学院大学

館内にある資料についてもご案内頂いたのですが、文系の大学である本学とは異なる工学系の大学の特徴がしっかり現れており、JDreamⅢに代表されるデータベースも利用できるそ
うです。
データベースの説明の資料
個人的には隣接分野の商業建築の分野の資料や工学院大学の卒業論文や修士論文が見れるのも非常に興味深ったです。詳細はぜひご覧いただきたいのですが、私のゼミ生もとりあげているようなカフェの空間に関する研究や街づくりに関する研究も多くみられ、本学の学生さんにとってもプレ卒論に当たる研究ノートや卒業論文のテーマを考えるうえで参考になりそうです。
商業建築系の雑誌も見られます


理系大学ならではの卒業論文や修士論文も館内閲覧できます

私は本学の図書館や大学周辺の充実した環境についてはこのブログでも度々取り上げてきました。学業を行う上で環境は非常に重要です。その点本学の図書館は素晴らしいですし、非常に多様な取り組みを行っています。

とはいえ、一大学では限界もあることも事実です。そのため、本学では多摩アカデミックコンソーシアム(詳細はhttp://www.tku.ac.jp/tku/society/tac/を参照)を周辺大学と組織し、各大学の特徴を活かした補完的な関係を築いてきました。実際、私はグローバルマーケティングの担当教員なので、英文資料が豊富な国際基督教大学の図書館などの資料を取り寄せるなど非常に助かっています。

今回の相互利用の開始はそれぞれの大学の良さを活かした形での有用な連携だと考えます。
ぜひ都庁近くのおしゃれな図書館を一度利用してみてはいかがでしょうか?
(文責:流通マーケティング学科 丸谷雄一郎)






2023年5月8日月曜日

東京経済大学へのバスでのアクセスがより便利に

 流通マーケティング学科の丸谷です。57回目の執筆です。東京経済大学の授業もコロナ禍で一時期は全面オンラインとなりましたが、コロナ禍が終焉に向かうにつれて少しずつ日常を取り戻しつつあります。そんな中4月から改善されたことがあります。それは大学へのバスでのアクセスです。

東京経済大学前バス停に近づくCocoバス

 大学への行き方としては、国分寺駅から徒歩というのが一般的です。しかし、教員である私は授業の準備に際して、書籍やパソコンなど多くの荷物を持ち帰る必要がある場合も多いです。そんな際に役立つのがバスなのです。東京経済大学の東側には京王バスのバス停が以前よりありました。しかし、本数はかなり少なく朝夕もほとんど変わらず30分に1本程度でした。

大学の東側に隣接する東京経済大学前バス停

 4月以降このバス停(現東京経済大学前バス停)に小金井市コミュニティバスCocoバスが停車するようになったのです。東京経済大学の住所は国分寺市となっているのですが、実は東の一部は小金井市にかかっています。4月からルート再編により、Cocoバスのルート内となり、京王バスと時間帯により分担して運行するようになりました。その結果として特に日中の運行本数が増える結果となったようです(Cocoバス再編の経緯などに関して詳細は小金井市のホームページに公開されている情報(https://www.city.koganei.lg.jp/kurashi/482/buss/chiikisetumeikai.files/saihenkeikaku.pdf)をご参照ください。

 

貫井前原路線の路線図(⑱が大学もよりバス停)

Cocoバスは午前9時23分の第1便から午後7時23分の第25便まで25分ごとに運行しています。実際利用してみると、バス自体はこれまでの京王バスと比べて小さくなったのですが、通常混んでいない路線であるため利用には問題を感じませんでした。特に大学から駅への帰りの利用においての使い勝手はとてもいいです。それ以外の時間帯には京王バスも走るので以前よりかなりの増便になっています。

なお、Cocoバスには循環バスであるため、東京経済大学への行きでは時間がかかるというデメリットがあります。このデメリット自体は京王バスだけの運行の際とはかわっていません。行きのアクセスに関しては東京経済大学から数分歩いた場所に、武蔵小金井駅や国分寺駅からの京王バスが停車する「東京経済大学入口(旧JR車庫前)」というバス停もあり、特に武蔵小金井駅からに関しては本数も多いので便利です。

少し離れていますが便利な東京経済大学入口バス停

せっかく改善されたアクセスも利用率が悪いとルート自体が変更されたり、本数が減らされてしまうかもしれません。荷物が重い時、天候が悪い時バス、あるいは疲れてしまった時バスを一度利用してみてはいかがでしょうか?

(文責:流通マーケティング学科教授 丸谷雄一郎)